
1987年のデビュー以来、日本競馬界の第一線を走り続けてきた武豊騎手。数々のG1タイトルを獲得したレジェンドだが、日本競馬の最高峰・日本ダービーでの勝利は、多くのファンを熱狂させた。これまで歴代最多となる日本ダービー6勝を達成。その一つひとつには異なるドラマがある。今回は、武豊騎手が制した日本ダービー全6勝を振り返る。[6/6ページ]
⑥2022年 ドウデュース
53歳でダービー6勝目…のちの世界No.1を撃破
武豊騎手にとって、6度目のダービー戴冠を果たしたのは2022年だった。キズナで劇的な復活劇を演じた2013年から9年。この時の相棒は、武豊に朝日杯FS初制覇をもたらしたドウデュースである。
2歳王者となったドウデュースは、3歳初戦の弥生賞ディープインパクト記念で、単勝2.2倍の1番人気に応えられず、2着に惜敗。続く皐月賞でも3.9倍の1番人気を背負い、後方から鋭く追い込むも3着に敗れた。
迎えた第89回日本ダービーでは、単勝オッズ4.2倍。ダノンベルーガ、イクイノックスに次ぐ3番人気に甘んじた。だが、武豊とドウデュースの名コンビは、この大一番で真価を発揮してみせた。
スタートを五分に決めると、道中は後方から5番手。レース後に「すごくいいポジションを取れたと思いました」と名手が胸を張ったように、やや速めのミドルペースで縦長の隊列となった中、前に皐月賞馬のジオグリフ、後ろに同レース2着のイクイノックスを従えるという絶好の位置に収まった。
そのままのポジションで進み、4コーナーを回るあたりでは“痺れるような手応え”で勝負の直線へ。百戦錬磨にしてVロードを熟知していた名手が選んだ進路は、やはり大外だった。
ゴーサインを出しつつ、残り200m付近で右鞭を抜いた。一発、二発と檄を入れると、ドウデュースは即座にスイッチが入り、あっという間に2番手に浮上。
残り100mで敢然と先頭に立ち、あとは左鞭で扶助を与えながら、イクイノックスの猛追をクビ差で振り切った。勝ち時計2分21秒9のダービー史上歴代最速タイムでの快走となった。
ウイニングランでは、コロナ禍明けの規制緩和直後ながら、満員のスタンドから「ユタカコール」が響き渡った。
6度目のダービー制覇について問われた武豊は、開口一番こう語った。「感無量ですね。もうほんとにうれしいです」。
スペシャルウィークで成し遂げたダービー初優勝時に連呼した「うれしい」という言葉は、令和となり、53歳となった武豊にとって不変の思いだった。
その後もドウデュースと武豊は、紆余曲折がありながらG1を4年連続、通算5勝を挙げる活躍をみせ、日本競馬界をけん引し続けた。
【了】
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【著者プロフィール:TOM】


