
1987年のデビュー以来、日本競馬界の第一線を走り続けてきた武豊騎手。数々のG1タイトルを獲得したレジェンドだが、日本競馬の最高峰・日本ダービーでの勝利は、多くのファンを熱狂させた。これまで歴代最多となる日本ダービー6勝を達成。その一つひとつには異なるドラマがある。今回は、武豊騎手が制した日本ダービー全6勝を振り返る。[4/6ページ]
④2005年 ディープインパクト
単勝1.1倍の衝撃…競馬史を変えた伝説のダービー
歴代最多となる3度目のダービー制覇後、武豊騎手がさらに記録を更新する4度目の優勝を飾ったのが、第72回目を迎えた2005年だった。タッグを組んだのは、のちに無敗の三冠を成し遂げ、社会現象を巻き起こした伝説的名馬・ディープインパクト。
武豊を背に、デビュー戦から圧巻の走りで連戦連勝。名手に「飛んでいる」と言わしめ、後方待機策からまくり上げ、直線一気の脚で他馬を置き去りにする様は見る者を魅了した。
三冠初戦の皐月賞では、外枠14番の上、躓いて大きく出遅れるスタートとなった。だが、そんな不利も関係なし。ディープインパクトは、常に外々を回りながら後続に2馬身半の差をつけ、単勝1.3倍の断然人気に応えてみせた。
迎えた日本ダービーでは、単勝支持率で歴代1位となる73.4%を獲得。オッズは1.1倍を示した。
レースでは、またもやや出遅れ気味のスタートとなったディープインパクトだが、相棒に絶対の信頼を寄せる武豊は慌てず騒がずのマイポジションを追走。
道中は後方3〜5番手あたりに位置し、向こう正面から徐々に進出開始。3〜4コーナーで馬群の外に持ち出される頃、上位馬との差はほとんどなくなっていた。
直線に入り、馬場のど真ん中、馬群からは大外に誘導されて末脚を爆発させる。鞍上武豊の叱咤に応えて、ディープインパクトは抜群の伸び脚を披露。残り200mのハロン棒付近で先頭に立つと、あとは最内を懸命に伸びるインティライミ以下を突き放すのみだった。
武豊とディープインパクトは、別次元の強さでターフの万緑鮮やかな府中のゴールを駆け抜けた。
終わってみれば、後続に5馬身差をつける楽勝劇を演じた黄金コンビ。叩き出した勝ち時計2分23秒3は、前年のキングカメハメハが記録したレースレコードに並ぶタイムであった。この記録とともに、人々の記憶にも深い衝撃を与えたシーンは、いまも伝説となっている。
脂の乗った36歳の武豊はこの年、最高のパートナーとともに競馬界の話題を独占。自身のキャリアハイにして、当時の歴代最多勝利記録を更新するJRA年間212勝を挙げる活躍などで、通算8度目の「騎手大賞」受賞を果たした。


