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【有馬記念 有力馬診断】アーバンシックが“打倒ドウデュース”の最右翼! 古馬勢の逆襲は?

12月22日、中山競馬場にて行われるG1有馬記念に向けて、『競馬の教科書(オーパーツ・パブリッシング)』の著者・玉嶋亮がXアカウントで有力馬の評価を行っている。この記事では、◎候補と△候補に分けて各馬を分析し、有馬記念の行方を占う。

Arte Veloce

◎候補馬(軸候補)

アーバンシック
春シーズンは折り合いに課題を抱え、皐月賞では後方から4着、ダービーではスローの前残り展開に泣いて末脚を繰り出すも惨敗。秋初戦のセントライト記念では中団で折り合いを付けたものの、鞍上のルメール騎手が道中で手綱を引き続ける様子が見られ、完全ではなかった。しかし、菊花賞では緩急のつく長距離戦で完璧に折り合い、直線で末脚を爆発させ、自身の最大出力を更新した。春先から高い能力を見せていたが、折り合いの課題により後方からの競馬を強いられた結果、ムラのある内容だった。それが菊花賞で一変し、折り合いが解消したことで、中団~前目で能力をフルに発揮できるようになった。緩急のある流れとロングスパート性能が求められる有馬記念では条件が整い、打倒ドウデュースの最右翼と言える存在。

スターズオンアース
ジャパンカップでは超スローペースで先行する競馬を選んだが、強いプレッシャーを受けることなく直線で失速し、まさかの惨敗となった。一方で、昨年のジャパンカップや有馬記念では現役最強クラスのパフォーマンスを発揮しており、ドウデュースとも互角の戦いを演じた実績がある。今年のジャパンカップは調整不足や体調面の影響も考えられるが、本来の走りが戻れば巻き返しも可能だ。衰えの懸念が残るものの、最大出力を出せば現役古馬トップクラスの能力は健在だ。

ダノンデサイル
ダービーでは内枠の恩恵を受けながらも、ジャスティンミラノを圧倒する強い内容を見せ、世代最上位クラスの能力を証明した。一方、菊花賞では内で脚を溜めて運ぶも、ズルズルと後退してしまい盛り返す形での惨敗。同情の余地はあるが、距離適性や展開に依存する面も見られた。それでも、ダービーの内容から能力的には3歳世代最上位の一角であり、有馬記念でもアーバンシックと並んで世代代表として注目される存在だ。

ドウデュース
天皇賞(秋)ではホウオウビスケッツが残るスロー展開を外から差し切り勝ち、続くジャパンカップでは前半62秒台の超スローペースを外からまとめて差し切る完勝。どちらも着差以上に内容の濃い競馬で、現役唯一の「横綱」としてその地位を確立した。3歳勢のアーバンシックやダノンデサイルとの初対戦となるが、安定したパフォーマンスとレース適性の高さから中心視されるべき存在である。

ベラジオオペラ
大阪杯では好スタートから先行ポジションを確保し、『負けて強し』のローシャムパーク以下を完封した。立ち回りの上手さが際立ち、特に隊列が縦長になりやすい展開ではその能力を最大限に発揮する。
有馬記念ではメイショウタバルやホウオウビスケッツが除外の可能性が高く、逃げ・先行馬が不足する可能性がある。スローの前残りになれば、大阪杯の再現も十分にあり得る一頭だ。

△候補馬

ジャスティンパレス
昨年の有馬記念4着、天皇賞春2着など、古馬路線で常に安定した末脚を見せてきた実力馬。天皇賞秋4着、ジャパンカップ5着と現役最強クラスのドウデュースには一歩及ばないものの、一線級相手にも崩れることなく堅実な競馬を続けているのが魅力。スターズオンアースやドウデュースと比較しても、安定感では上回る存在だ。ただし、3歳トップクラスのアーバンシックやダノンデサイルが出走を予定しており、勝ち切るには展開やトラックバイアスの助けが必要。安定感を活かして好走する可能性は高い。

スタニングローズ
エリザベス女王杯で復活の勝利を収めたが、同レースはG1としては物足りないメンバーレベルであり、内容的には夏のハンデ重賞と同列扱いが妥当という見解だ。大阪杯や中山記念では惨敗しており、一線級が揃う有馬記念では能力的に不足する可能性が高い。展開が味方しなければ上位進出は難しい。

ブローザホーン
今年は日経新春杯と宝塚記念を制するなど大きく飛躍したが、スピードを要求されるレースでは苦戦が続いている。430kg前後の華奢な馬体が課題で、勝負どころで11秒台前半のトップスピードが求められると力不足が露呈する。有馬記念はスピードよりも持続力が問われるレースではあるものの、後方から運ぶ競馬では勝負どころでの進出が鍵を握る。一線級との戦いでは割引が必要だ。

プログノーシス
札幌記念では不利な展開で4着に終わったが、能力全開だった金鯱賞では圧倒的な勝利を収め、香港QE2でもロマンチックウォリアーを相手に善戦している。特に、今年の金鯱賞ではジャパンカップ2着のドゥレッツァを寄せ付けない圧勝劇を披露した。G1で通用する能力を備えた1頭だが、安定感には課題がある。ドウデュースが中心となる展開で、相手候補として期待される。

レガレイラ
春のクラシック戦線では結果を残せなかったが、最大出力を発揮したホープフルステークスではシンエンペラーを外から差し切る競馬を見せた。以降はスローペースや不利に泣いているが、条件が揃えば巻き返しの可能性を秘める。

ローシャムパーク
毎日王冠では惨敗したものの、スローからのトップスピード勝負ではこれくらいの結果になるのが常だ。大阪杯では差し有利の展開の中、先行して2着に粘る競馬を見せ、ブリーダーズカップターフでは勝ちに等しい2着を記録している。現役古馬の中ではトップクラスの能力を有し、ドウデュースが外から差し切りを決める展開では相手候補として有力。

【了】

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<プロフィール>
玉嶋亮(たましま・りょう)
1985年生まれ。本業を抱え時間の制約があるため、芝オープンクラスのみにフィールドを限定している。「能力比較」「馬場読み」を中核のファクターとして、パドックや追い切り等は一切見ないスタイル。2021年凱旋門賞の単勝万馬券、2022年AJCCの三連単288万円等の的中実績がある。「単勝多点」「変則フォーメーション」「複勝チャレンジ」等多彩な馬券術に定評があり、設計回収率=130%を公言し、累計回収率=148%を記録している。旧作「競馬の教科書(ピンク本)」は、個人出版ながら異例の大ヒットを記録し、2022年11月にベストセラーの座を譲らないまま絶版した。アマチュア最強の予想屋、日本一の競馬作家になるのが目標。

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