【阪神JF 有力馬診断】ブラウンラチェットが中心か? コートアリシアン、ショウナンザナドゥも虎視眈々
12月8日、京都競馬場にて行われるG1阪神ジュベナイルフィリーズに向けて、『競馬の教科書(オーパーツ・パブリッシング)』の著者・玉嶋亮がXアカウントで有力馬の評価を行っている。この記事では、◎候補と△候補に分けて各馬を分析し、阪神ジュベナイルフィリーズの行方を占う。
◎候補馬(軸候補)
ブラウンラチェット
アルテミスステークスでは、序盤から好位をキープしながら直線では進路が塞がれる厳しい展開であったが、残り400mで進路が開くと、ルメール騎手の手綱に応えて一気に加速し、他馬を圧倒した。競馬センス、加速力、折り合いといった競走能力の総合力が高く、2歳牝馬としての完成度はトップクラス。世代最強クラスが揃ったアルテミスステークスで見せた圧巻の勝利は、阪神JFでも中心視するに値する。人気であっても、本命級の評価を与えたい。
コートアリシアン
新潟2歳ステークスでは、掛かり気味のチグハグなレース運びとなったが、それでも直線で一旦先頭に立つ強い内容を見せた。敗れた相手は牡馬のトータルクラリティで、同情の余地もある。「掛かる馬は強い」と『競馬の教科書シリーズ』で謳っている通り、抑えきれないほどのスピードがある証拠である。G1では前哨戦よりもペースが流れやすいので、前走よりも自然な形で折り合うことができれば、末脚爆発もある。
ショウナンザナドゥ
アルテミスステークスでの3着は、前残りの展開バイアスが働いたため、内容自体は着順ほど悪くはない。「ブラウンラチェットに勝っていたか?」とまで言われると微妙なラインだが、少なくともミストレスにはレース内容で上回る。差し馬向きの展開やトラックバイアスになれば、逆転の可能性も十分。鋭い末脚が持ち味で、阪神JFでは展開次第で台頭する可能性が高い。優勝候補の一角として高い評価をすべきだ。
ランフォーヴァウ
デイリー杯2歳ステークスを牡馬相手に正攻法の競馬で制した実力馬。早め先頭から押し切る形での勝利は、京都1600mの舞台で完成度の高さを示す内容だった。ただし、対戦相手のレベルが疑問視される部分もあり、今回が真価を問われる一戦となる。牡馬相手の勝利経験を生かし、2歳女王争いに加わる可能性がある。
△候補馬
アルマヴェローチェ
札幌2歳ステークスでは、不良馬場やラチ沿いの幸運な進路取りが大きく影響した恵まれた内容の2着。総合的に見ると、力以上の結果だったと言える。阪神JFでは好走までが限界で、大きな上積みを期待するのは難しいか。
ジャルディニエ
未勝利戦、アスター賞を連勝しており、内容に余裕を感じさせる成長途上の馬。ただし、これまでの相手関係では真価を測りきれず、阪神JFが試金石の一戦となる。展開次第では上位争いに加わる可能性も。
テリオスララ
萩ステークスでは、スローペースの単騎逃げという展開に恵まれての勝利。内容的には、極端な展開がなければ上位争いは難しい。阪神JFでは割引が必要な一頭。
ビップデイジー
紫菊賞で見せた勝ちっぷりは余裕のある内容。牡馬相手に2戦2勝で底を見せていない魅力はあるものの、今回が初めて強いメンバーとの対戦となる。未知数の魅力を秘めるが、人気次第でヒモ候補。
メイデイレディ
アメリカの芝路線で4戦3勝、BCジュベナイルフィリーズターフ2着の実績を持つ。アメリカ競馬は芝路線が主流ではない。芝のレースレベルにおいて世界一の日本競馬において、ほぼパーフェクトな戦績のメイデイレディに敬意を示しながらも、牝馬クラシックホースの多数輩出する阪神JFで通用するかは未知である。
【了】
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<プロフィール>
玉嶋亮(たましま・りょう)
1985年生まれ。本業を抱え時間の制約があるため、芝オープンクラスのみにフィールドを限定している。「能力比較」「馬場読み」を中核のファクターとして、パドックや追い切り等は一切見ないスタイル。2021年凱旋門賞の単勝万馬券、2022年AJCCの三連単288万円等の的中実績がある。「単勝多点」「変則フォーメーション」「複勝チャレンジ」等多彩な馬券術に定評があり、設計回収率=130%を公言し、累計回収率=148%を記録している。旧作「競馬の教科書(ピンク本)」は、個人出版ながら異例の大ヒットを記録し、2022年11月にベストセラーの座を譲らないまま絶版した。アマチュア最強の予想屋、日本一の競馬作家になるのが目標。
▼競馬の教科書シリーズ▼
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