【2026オークス回顧】「夢を見ているみたい」今村聖奈とジュウリョクピエロが掴んだ歴史的G1初制覇

5月24日(日)に行われたオークスでは、過去10年で最も遅い、超スローペースの一戦となった。そんな流れの中で、最後に豪快な末脚を繰り出したジュウリョクピエロがG1制覇。今村聖奈騎手にとっても、JRA女性騎手初となるG1勝利の歴史的瞬間となった。今回はレースの勝負を分けたポイントはどこにあったのか。改めて振り返っていく。[1/2ページ]
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2026オークス回顧
桜花賞でペースを握り、オークスでも主導権候補だったロンギングセリーヌは、スタート後に接触する場面があったにせよ、ハナ主張という感じも見られずに好位からの競馬となった。
かわってハナを切ったのはトリニティ。ただ、この馬は中距離戦を使ってきた馬だけあってビュンビュン飛ばすこともない。
それによって、ダービーよりペースの流れることが多いオークスとしては、異例のスローペースが完成。前半1000mの通過は、ソウルスターリングが勝った2017年の61秒7より遅く、過去10年で最もスローな62秒2であった。
そんな中で勝利したジュウリョクピエロは、自分の競馬に徹する後方待機策を選択していた。そしてレースが動いたのは、前半1000mを通過した残り1400m地点。ジュウリョクピエロの目の前にいたリアライズルミナスと津村騎手がスーっと動いていき、2番手まで浮上。ここから1ハロンのラップは12秒台前半までペースアップした。
この馬の存在によって、単純なスローの瞬発力勝負とはならなかった点では、非常に大きな動きであった。
直線に入ると、逃げるトリニティと西村淳也騎手は内を10頭分ほど空けた馬場の真ん中へと馬を誘導。さらに後続各馬も、その外へと進路を求める馬が多数派であった。
そして、残り400mを切ったあたりでトリニティを捕えたのは、2番手まで浮上していたリアライズルミナス。
後続もほとんど同じ脚いろに見えていたため、一旦は完全に抜け出したリアライズルミナスが大仕事をやってのけたかとも思われたが、やはりこの馬のベストは未勝利勝ちを果たした1800mだったか。津村騎手の好騎乗で2200mまではごまかしが利いたが、ラスト200mで後ろの馬との差が一気に詰まっていく。
アランカールと武豊騎手のコンビに終始外の進路をブロックされていたスターアニスは伸びを欠き、伸びてきたのは5頭。リアライズルミナスの内を選択したのはレイクラシックとスウィートハピネス、外を選択したのはジュウリョクピエロとドリームコアとラフターラインズ。
その中から最後に伸びたのは、外の3頭。中でも末脚が際立ったのが、ジュウリョクピエロ。リアライズルミナスとドリームコアの間をグイっと伸びてクビ差だけ前に出た瞬間がゴール板。まさに測ったような差し切り勝ちであった。
ラジオNIKKEIの実況でも、直線に入ってからこの馬の名前が初めて呼ばれたのはゴール約1秒前。もちろんこれは実況への批判ではなく、この馬に注目してレースを見ていた人以外、ジュウリョクピエロが伸びてきていることにゴール直前まで気付かなかった人も多かったのではないだろうか。
デビューから3戦はダートを使っており、強い内容だった前走も上がり3F最速ながら35秒2。そんな馬に上がり3F最速の33秒1の脚を使わせたのは他でもなく、ギリギリまで追い出しを待って完璧なタイミングで仕掛けた今村聖奈騎手。
東京競馬場で未勝利、さらに東京2400m戦での騎乗経験もなかったとは思えないほど肝の座った騎乗で、ジュウリョクピエロの最高のパフォーマンスを引き出した。
もちろん、馬の力があってこその勝利であることは大前提として、6着馬までは0秒1差の大混戦。決してこの馬の力が抜けていたというわけではなく、馬場の良いギリギリのラインを見極めて進路を見つけた今村騎手の好騎乗あってこその勝利だった。
この馬のことを誰よりも知っていて、誰よりも信じていたからこそ成し遂げられた、JRA女性騎手初のG1制覇という歴史的快挙であった。そして、この勝利は管理する寺島良調教師にとっても悲願だったG1初制覇となった。
騎手、調教師、そして馬。そのすべてが噛み合った末に生まれた、歴史的なオークス制覇であった。


