
1941年にセントライトが史上初の三冠馬に輝いて以来、2026年のロブチェンまでに25頭の春二冠馬が誕生した。しかし、そのすべてが菊花賞の舞台に立てたわけではない。故障などによって出走が叶わず、三冠への挑戦を断念した馬もいる。それほど三冠への道は険しい。今回は、春の二冠を制し、菊花賞で三冠達成に挑んだ馬たちを振り返る。[3/5ページ]
③ディープインパクト

今さら多くを語る必要もないほどの名馬、ディープインパクト。
弥生賞こそ完勝というには少し物足りない着差だったが、それ以外のレースでは危なげない内容でデビューから6連勝。
これまでのレースぶりから競馬ファンたちは、シンボリルドルフ以来、史上2頭目となる無敗の三冠馬誕生を確信していたのではないだろうか。
そして、その思いは数字にも表れ、単勝オッズは1.0倍。要するに、ディープインパクトの単勝を1万円買っても10万円買っても100万円買っても、1円の儲けにもならないのである。
前もって馬券を買っていた人たちは、「もしかしたら1.1倍つくかも」と思って買っていたことだろう。しかし、レース直前に購入した人たちは、それまでのオッズ推移を見て、元返しになる可能性が高いことを分かっていたはずだ。
それもそのはず、単勝支持率79.03%は現行のオッズ制度となって以降のG1では最高の数字。20年以上が経った今でもその記録は破られておらず、今後のG1でもそうそう見られるものではないだろう。
それでも、競馬ファンはディープインパクトの単勝馬券を買った。もはや利益を得るためではなく、この馬が歴史的名馬となる瞬間を信じ、その証しとして馬券を手元に残しておきたい。そんな思いもあったのではないだろうか。
そして実際に、ディープインパクトは勝った。
完璧なレース運びで抜け出したアドマイヤジャパンと横山典弘騎手を、並ぶ間もなく交わしていった圧巻の走りだった。
史上2頭目となる無敗の三冠馬誕生の瞬間、京都競馬場だけでなく全国の競馬ファンが深い衝撃に包まれた。こんなに強い馬が負けるはずない。このとき競馬ファンは、皆そう思ったのであった。


