【インタビュー】競走馬は引退後どこへ行くのか。TCC Japan代表が語る“その先”

競走馬は引退したあと、どこへ行くのか
“その先”をつくろうとする者たちの物語
競馬では、レースの結果や血統、次走への展望などに大きな注目が集まる。しかし、競走馬として現役を終えた馬たちの“その後”を知る機会は決して多くない。
引退後に新たな役割や居場所を見つける馬がいる一方で、すべての競走馬がそうした道を歩めるわけではない。競走生活を終えた先には、決して平坦ではない現実がある。
そんな引退競走馬の現実と向き合い続けているのが、TCC Japan代表の山本高之氏だ。
今回は、引退競走馬支援に取り組む山本氏にインタビューを実施。
活動を始めたきっかけや現在の課題、そして競走馬たちの“その先”について話をうかがった。
「馬とともに社会を豊かに」
TCC Japanは、「馬とともに社会をゆたかに」という理念のもと、競走馬のセカンドキャリア支援と、馬と人が共生することで生まれる新たな社会的価値の創出に取り組んでいる。
「引退競走馬の支援と、その馬たちと社会事業をつくっていく。この2つを軸にしています」
今でこそシンプルに語られる活動理念だが、その背景には10年にわたる試行錯誤と積み重ねがある。
そして、その原点は競馬への強い関心や経験にあったわけではなかった。

競馬とは距離のあった出発点
TCC Japan代表の山本氏は滋賀県・栗東市の出身だ。
栗東市はJRA栗東トレーニング・センターを擁する“馬の町”として知られている。しかし、山本氏自身は競馬と深い関わりのない生活を送ってきたという。
「親も競馬関係の仕事に携わっていたわけではなく、私自身も競馬が特に好きというわけではありませんでした」
その後、競馬関係の家庭で育った妻との出会いは、ひとつのきっかけとなったが、それでも競馬そのものに強い関心を持っていたわけではなかった。
やがて東京で起業することになったものの、手がけたのは競馬とは異なる分野の事業だった。
当時の競馬との関わりは、あくまで“身内の応援”という感覚。そのため、馬券を購入した経験もなかったという。
そんな中で、ひとつの気づきがあった。
「新しく知り合った人に、栗東出身だと言うと、必ず競馬の話になるんです。でも自分は何も知らない。そのギャップはずっと感じていました」
競馬の町で育ちながら、競馬について語れない。その違和感こそが、後の活動へとつながっていくことになる。


