
アスリートにとって、長く第一線で活躍し続けることは容易ではない。競馬界の騎手も例外ではなく、肉体的な衰えや若手の台頭、環境の変化といった壁が常に立ちはだかる。
本稿では、JRA所属の経験を持ち、さらに各所属地域においてリーディングジョッキーの座に輝いた実績がある、55歳以上の現役騎手5名を紹介する。[5/5ページ]
⑤小牧太
■58歳(※2026年1月29日現在)
生年月日:1967年9月7日
デビュー:1985年(兵庫)、2004年 (JRA)
出身地:鹿児島県
所属:兵庫・中塚猛厩舎
表彰歴:
・NAR全国リーディング2回
・兵庫地区リーディング11回
1985年に兵庫県競馬組合の騎手としてデビューし、1992年から9年連続で地区リーディングを獲得した小牧太騎手。
その間の1994,96年にはNARの全国リーディングにも輝き、2001年には中央に遠征し、エキストラ騎乗したローズバドで3月のフィリーズレビューを勝利。
さらに2002年にはロードバクシンで兵庫三冠を達成し、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで兵庫のトップに君臨し続けた。
そんな小牧騎手であったが、2004年に中央に移籍してからはやや不振に陥った。自分でも「兵庫から遠征していた時の方がうまく乗れている」と感じる時があったといい、騎手をやめようか悩んだ時もあったという。
しかし、先輩である安藤勝己元騎手に「俺たちは追えるから自信を持っていい」と言われたことをきっかけに吹っ切れると、そこから徐々に勝ち星を伸ばし、移籍後5年目の2008年にはレジネッタで桜花賞を制覇。
後方待機に徹し、直線は一気に弾けるという豪快な競馬での勝利だった。入線後、馬上で派手なガッツポーズを見せ、勝利騎手インタビューでは泣きじゃくった小牧騎手だったが、実は馬券的にも3連単の配当が700万2920円となる大波乱を演出している。
それから16年後の2024年、再度兵庫へ移籍することを発表。地方から中央へ挑戦し、再度地方へ移籍するという史上初のジョッキーとなった。
移籍後は、往年の勢いを取り戻すかのような活躍を遂げ、2025年は年間200勝を達成。58歳での達成は史上最年長で、あの的場文男騎手や川原正一騎手ですら達成できていない記録である。
さらに12月2日には園田7レースから12レースを6連勝と、全く年齢を感じさせないパフォーマンスを見せている。
小牧騎手自身「JRAでの経験があるから、昔園田で乗っていた時より引き出しと技が増えている。当時より今の方が乗れているかもしれない」と語っており、58歳にしてまだまだ進化の余地を残しているのだから末恐ろしい。
2027年には還暦を迎える小牧太騎手。その時、彼はどんな姿を我々ファンに見せてくれるのだろうか。今から待ち遠しくてならない。
【了】
【著者プロフィール:小早川涼風】
祖父と父の影響で幼い頃から競馬に親しみ、社会人を経て競馬ライターへ転身。地方、中央を問わない競馬漬けの日々を送る。初めて好きになった馬はサイレンススズカ。思い出深い一頭はファストフォース。「競馬チャンネル」「ウマフリ」などで記事を執筆中。
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