ラヴズオンリーユー 〜海外で無類の強さを発揮した唯一無二の名牝〜
ラヴズオンリーユー(Loves Only You)
デビューから4連勝でオークスを制覇。4歳時は未勝利に終わるも、5歳で復活。香港クイーンエリザベス2世C、BCフィリー&メアターフ、香港カップと世界の名馬を打ち破り、国際舞台で日本馬の強さを証明した名牝である。
プロフィール
性別 | 牝馬 | |
父 | ディープインパクト | |
母 | ラヴズオンリーミー | |
生年月日 | 2016年3月26日 | |
馬主 | DMMドリームクラブ | |
調教師 | 矢作芳人 | |
生産牧場 | ノーザンファーム | |
通算成績 | 16戦8勝【8-2-3-3】 | |
獲得賞金 | 3億3874万円 | |
主な勝ち鞍 |
優駿牝馬(2019年) BCフィリー&メアターフ(2021年) クイーンエリザベス2世C(2021年) |
|
受賞歴 |
最優秀4歳以上牝馬(2021年) エクリプス賞最優秀芝牝馬(2021年アメリカ) |
|
産駒成績 | 産駒デビュー年:2025年(予定) | |
通算重賞勝利数:0勝 | ||
通算G1勝利数:0勝 | ||
代表産駒 | 特になし |
海外の地で花開いた果てしなきポテンシャル
ラヴズオンリーユーは、2018年11月に京都競馬場でデビューした。父は言わずと知れたディープインパクト、母はアメリカ産馬で、現役時代は未出走。全兄にドバイターフを制したリアルスティールのいる良血馬であった。レースは、出遅れながら好位から進めると、直線はラチ沿いを抜け出しての勝利。ラスト1Fは推定10秒台の切れ味を見せてのデビュー勝ちとなった。
2戦目は白菊賞。中2週で馬体重を14キロ減らしての出走となった。今回もスタートは遅かったが、後方追走から直線は馬群の大外に出して差し切って連勝。2戦2勝で2歳シーズンを終えた。
年が明けて、目標はもちろん桜花賞であったが、細菌性の疾患によって断念。目標をオークスに切り替え、忘れな草賞に出走した。相変わらずゲートの出は悪かったが、常に外々を回る安全策でも3馬身差の快勝。急仕上げ気味で万全の態勢とは言えない状態であったが、きっちりと賞金の上積みに成功した。
そして迎えた優駿牝馬(オークス)。桜花賞を制したグランアレグリアが、NHKマイルカップに出走したことによって、混戦ムードとなっていた。その結果、桜花賞組でないだけでなく、重賞すら走ったことのないラヴズオンリーユーが1番人気に推されていた。レースは互角のスタートを決めると、中団からの競馬。直線では先に抜け出したカレンブーケドールを目標に伸びる。最後はねじ伏せるようにクビ差先着し、無敗のオークス馬となった。
夏を経て、秋は秋華賞を目標にしていたが、今度は蹄に炎症によって回避。エリザベス女王杯で古馬との初対戦となった。スタートを決めて2番手から進めるも、ラチ沿いを伸びてきたラッキーライラックの3着に敗れ、デビューからの連勝は4でストップした。
4歳となったラヴズオンリーユーは、ドバイシーマクラシックから始動。しかし新型コロナウイルスの感染拡大により、ドバイ国際競走の中止が決まり、無念の帰国となった。帰国後はヴィクトリアマイルに出走するも、7着に敗れた。さらに鳴尾記念では、単勝1.8倍の断然人気に推されるも2着となった。夏を経て、秋は府中牝馬S5着、エリザベス女王杯3着、有馬記念10着という結果となり、4歳シーズンは未勝利に終わった。
年が明けて、5歳となったラヴズオンリーユーは、京都記念から始動した。好位からレースを進めると、直線は粘るステイフーリッシュをねじ伏せるように交わして勝利。オークス以来、久々の美酒となった。
次走は、昨年出走予定だったドバイシーマクラシックに出走して3着。そして、香港に転戦してクイーンエリザベス2世Cに出走。日本から出走した4頭が1〜4着を独占する中、好位から抜け出して勝利。オークス以来のG1制覇となった。
その後は、秋の海外遠征に向けて札幌記念に出走。3キロの斤量差があるソダシに敗れるも2着。秋は予定通りBCフィリー&メアターフに出走。好位からレースを進めると、直線でもなかなかエンジンがかからなかったが、最後は馬群を割るように伸びて勝利。アメリカの地でもG1制覇を果たした。
そして引退レースとなった香港カップ。好位からレースを進めるも、直線ではまたもなかなか前が空かない苦しい競馬。それでも、抜群の勝負根性で進路を確保すると、最後は同じ日本馬のヒシイグアスとの叩き合いをアタマ差で制して、優秀の美を飾った。年が明けて、1月30日の全レース終了後、東京競馬場で引退式が行われ、ターフに別れを告げた。
引退後は繁殖牝馬となり、初年度はエピファネイアとの仔を受胎。順調ならば2026年となる産駒デビューが、楽しみに待たれる。
【了】
(文●中西友馬)