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日本ダービー最年少制覇ランキング【第5位】“テン乗りではダービーを勝てない”…ジンクスを覆した神騎乗

text by 小早川涼風
2023年ダービーをタスティエーラで制したレーン騎手
2023年ダービーをタスティエーラで制したレーン騎手

騎手にとって“ダービージョッキー”の称号は、何よりも特別なものだろう。数々の名手たちが挑み、涙を飲んできた日本ダービー。その頂点を、まだ若いうちに掴み取った騎手たちは果たして誰なのか。今回は、グレード制導入後に日本ダービーを制した騎手の中から、“最年少勝利”ランキングTOP5を振り返る。今回は第5位。
※記録は2026年5月19日現在のもの

第5位:ダミアン・レーン(29歳3ヶ月22日)

“テン乗りでは勝てない”を覆した神騎乗

 グレード制導入後の日本ダービーにおいて、史上5番目の若さで制覇を果たしたダミアン・レーン騎手。

 日本ダービーを短期免許で制した騎手は、2026年5月19日時点でも2003年のミルコ・デムーロ騎手とレーン騎手のわずか2人のみ。

 そんなレーン騎手が制した2023年の日本ダービーでは、無敗で皐月賞を制したソールオリエンスが単勝1.8倍の圧倒的人気を集めていた。

 一方、レーン騎手が騎乗したタスティエーラは単勝8.3倍の4番人気。皐月賞では松山弘平騎手とのコンビで2着に好走していたが、それでも評価は控えめな印象だった。

 その背景にあったのが、「テン乗りではダービーを勝てない」という長年のジンクスである。1954年のゴールデンウエーブを最後に、69年間テン乗りでの勝ち馬はゼロ。

 さらに2019年のダービーでは、レーン騎手自身が大本命のサートゥルナーリアにテン乗りで騎乗したが、結果は出遅れて4着に終わっている。この過去もまた、タスティエーラへの評価に少なからず影響していたのだろう。

 しかしレースでは、スタートを五分に出たタスティエーラをレーン騎手は、すぐ後ろのソールオリエンスにプレッシャーをかけるようにライバルの前方へつける。

 これに合わせるように各馬が動いたことで、ソールオリエンスの周囲はガッチリ固められた。そして直線に向くまで、その包囲網の核にいたタスティエーラとレーン騎手は一切ポジションを上げず、武史騎手に進出の隙を与えなかった。

 迎えた直線、タスティエーラにレーン騎手が合図を送ると、相棒は楽に好位集団から先頭を射程圏内に捉える。

 そのまま後は追撃してくるソールオリエンスやベラジオオペラ、ハーツコンチェルトを封じ込めて勝利。2着とはわずかにクビ差であったが、その差は鞍上が見事にレースの状況とライバルとの力関係を読み切った結果だった。

 レース後、レーン騎手は「この馬のストロングポイントは速いスタートを切って、ポジションを取ってすぐにリラックスし、折り合ってリズム良く競馬ができるところ」と語った。

 テン乗りの相棒をわずかな期間で理解し、その能力を最大限に引き出してみせたレーン騎手。卓越した適応力と勝負勘こそが、外国人ジョッキー屈指の実績を日本で積み重ねている理由なのだと、改めて感じさせられる一戦だった。

【了】

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【著者プロフィール:小早川涼風】