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混ぜるなキケン…?天皇賞・秋に挑んだ3歳馬の名勝負(2)4頭の3歳馬が女傑に挑戦!大一番を制したのは…

text by 小早川涼風

旧レース名時代から数えて約90年の歴史を誇る天皇賞(秋)。近年では3歳馬の挑戦も増え、グレード制導入以降は、延べ39頭が出走し、4頭が勝利を挙げている。3歳馬と古馬の実力馬たちが激突するこの舞台では、数々の名勝負が生まれてきた。本稿は、そんな3歳馬が挑んだ天皇賞(秋)から、特に印象的な5つの年を振り返る。今回は2頭目。

2010年天皇賞(秋)2着ペルーサ(写真中央)
2010年天皇賞(秋)2着ペルーサ(写真中央)

②2010年 天皇賞(秋)

【出走した3歳馬】
ペルーサ:2着
オウケンサクラ:4着
アリゼオ:14着
コスモファントム:16着

 藤沢和雄師は、バブルガムフェローでの勝利を皮切りに、その後も数多くの3歳馬を天皇賞(秋)へと挑戦させ、好成績を残していた。そして2010年、その舞台に送り込まれたのがペルーサであった。

 この年はペルーサのほか、オウケンサクラ、アリゼオ、コスモファントムも名を連ね、3歳馬としては史上最多となる4頭が同時にゲートインすることになった。

 なかでも、出走のたびに鋭い末脚で追い込んでいたペルーサは、4番人気という上位評価を受けていた。当時の女王ブエナビスタに対抗できる新星として、期待も大きかったのだろう。

 しかしゲートが開くとペルーサが立ち上がり出遅れ。これで3レース連続のスタート失敗となった。

 対照的に好スタートを切ったのがオウケンサクラとコスモファントムで、ハナを叩いたシルポートを見るように先団に取りついた。

 前哨戦の毎日王冠を制したアリゼオは、その時と同様に中団からレースを進め、4頭が前から後ろまでまんべんなく分かれる道中となった。

 そして直線、いつものようにブエナビスタが抜け出しにかかるところで、先団にいたオウケンサクラが抵抗の姿勢を見せる。

 しかし、あっさりとオウケンサクラを競り落とし、そのままブエナビスタは後続との差をみるみるうちに広げセーフティーリード。

 最後の最後、出走メンバー中で唯一となる上り3F・33秒台の末脚でペルーサが後方から突っ込んでくるが、2馬身差まで迫るのが精一杯だった。

 そのほかの3歳馬もオウケンサクラは4着に粘ったが、アリゼオは14着、コスモファントムは15着。稀代の女王の前に、3歳勢は完敗に終わった。

 とはいえ、掲示板内に3歳馬が2頭入線したのは、グレード制導入以後の天皇賞(秋)では史上初の出来事。

 この時期の3歳馬でも歴戦の古馬に通用するレベルにあることがわかってきたからか、以降、3歳馬の参戦は急速に増加していく。ある意味では歴史の転換点と呼べる天皇賞(秋)だったのかもしれない。

【了】

(文●小早川涼風)

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