“その日”は目前か…?ファン待望のGⅠ初制覇に挑む注目騎手(5)武豊の記録を塗り替える…父子鷹の穴男
春のG1シーズンが本格的に始まったが、今年は有力馬とコンビを組む騎手の中で、まだG1タイトルを手にしたことのない騎手も多い。そこで今回は、2025年4月時点で中央G1未勝利の騎手の中から、近い将来G1初制覇を果たしそうな注目の5人をピックアップして紹介する。今回は5人目の騎手。
ただ、「なぜあの騎手が入っていないのか」と感じる方もいらっしゃるかもしれない。しかし、多数の有力騎手から5人に絞り込むのは非常に困難だった。そのため、今回名前を挙げなかった騎手についても、決してG1制覇の可能性が低いと考えているわけではない。この点については、どうかご理解いただきたい。それでは、注目の5人を順番に紹介していく。
⑤吉村誠之助
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デビュー:2024年(2年目)
重賞勝利数:1勝(中央1勝,地方0勝)
騎手リーディング:最高31位(2024年)
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吉村誠之助騎手がJRAで挙げた初勝利は、ボルザコフスキーとのコンビで制したリステッド競走の六甲ステークス。デビュー初勝利がオープン特別以上という快挙は、過去に武幸四郎騎手(現・調教師)のみが達成しており、史上2人目の記録となった。
さらに吉村騎手は6月20日に地方の園田競馬場で5勝をマークした。これにより武豊騎手が保持していた、JRA騎手が地方競馬場でエキストラ騎乗した際に挙げた1日の勝利数を更新。デビュー初年度から記録を2つも更新しているのだから、前途有望な騎手と言えるだろう。
彼の父で、兵庫県競馬に所属する吉村智洋騎手は息子に対して「ゲートが上手」と評している。その言葉通り、誠之助騎手の騎乗馬が出遅れることはほぼ無く、スタートからすぐに理想的な位置取りを取ることが多い。さらに人気薄の馬を好走させることしばしばあり、馬券を買うファンからは“穴男”として注目されている。
そんな誠之助騎手が騎乗したG1は、2025年の4月時点で2024年の朝日杯FSのみ。だが、そのレースで騎乗したランスオブカオスを3着に導き、翌年の春、共に重賞初制覇を成し遂げたのだから脱帽である。順調ならランスオブカオスは5月のNHKマイルCに出走する予定。もしこのレースで誠之助騎手が騎乗して勝つようなら、武豊騎手がスーパークリークと打ち立てた史上最年少のG1制覇記録も塗り替えることになる。
そしてランスオブカオス以外にも条件戦で2連勝を挙げているレディマリオンなど、彼の手元に将来を感じさせる素質馬は多い。これからの競馬界を担うホープとして、吉村誠之助騎手の成長に期待したいところだ。
【了】
(文●小早川涼風)
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