HOME » セレクト » 有馬記念で有終の美…最高のラストを飾った歴史的名馬たち(5)熱狂を生んだ男の引き際…時代を席巻した名馬

有馬記念で有終の美…最高のラストを飾った歴史的名馬たち(5)熱狂を生んだ男の引き際…時代を席巻した名馬

text by 中西友馬

年末の風物詩となっている有馬記念。数多くの歴史的名馬たちが“有終の美”を飾って引退してきた名物レースだ。今回はそんな有馬記念の歴史の中から、ラストランの直後に引退式を挙げた名馬5頭のレースをピックアップして紹介する。五頭目はキタサンブラック。

Saburo Kitajima Yutaka Take
キタサンブラックのお別れセレモニー 北島三郎オーナー「まつり」を披露

キタサンブラック

 ジェンティルドンナの勝利から4年が経った、2017年の有馬記念。この年の主役は、キタサンブラック

 この馬もこの時点でG1・6勝を挙げており、7つ目のG1タイトル獲得を目指し、有馬記念に出走していた。同年の天皇賞(秋)直前に、年内での現役引退が発表されており、このレースがラストランとなっていた。

 人気は、キタサンブラックが単勝1.9倍の1番人気。2番人気は、同年のダービー2着馬スワーヴリチャード。3番人気に、直前のジャパンCを制したシュヴァルグランが続き、4番人気の宝塚記念覇者サトノクラウンまでが単勝10倍を切る人気に推され、発走を迎えた。
 
 レースは、戦前の予想通りにキタサンブラックがハナを切り、2番手にシャケトラが続く。他の有力馬は、軒並み中団〜後方寄りにポジションを取っていた。1000mの通過は推定61秒5前後というスローペースで進み、隊列に大きな動きのないまま4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線に入ると、後続をジリジリと突き離していくキタサンブラック。その後ろから追い上げてくるのは、外を回って併せ馬の形で追い込んできたシュヴァルグランとスワーヴリチャードの2頭に、馬群の中から伸びたクイーンズリング。この3頭が競り合いながら前との差を詰めようとするが、最後までその影を踏ませず逃げ切ったキタサンブラック。激しい2着争いを制したクイーンズリングに1馬身半の差をつけ、見事にラストランを飾った。

 勝ったキタサンブラックは、ディープインパクトらと並ぶ、7つ目のG1タイトルを獲得。レース直後は引退式ではなく、お別れセレモニーであったがオーナーである歌手の北島三郎さんが、「まつり」を熱唱し、中山競馬場に駆けつけたファンも熱狂した。

 引退式は、年が明けた1月7日の全レース終了後、京都競馬場にて行われ、キタサンブラックはターフに別れを告げた。安定した先行力と無尽蔵のスタミナで、時代を席巻したキタサンブラック。北島三郎オーナーとともに、競馬界を盛り上げてくれた存在であった。

【了】

(文●中西友馬

【関連記事】
有馬記念で有終の美…最高のラストを飾った歴史的名馬たち(1)
有馬記念で有終の美…最高のラストを飾った歴史的名馬たち(2)
有馬記念で有終の美…最高のラストを飾った歴史的名馬たち(全紹介)