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「激烈にアツい…!」乙女の壮絶バトル…ローズステークス名勝負(5)まさかの最終戦に…究極の対決を制したのは?

text by 中西友馬

1983年に創設されたローズステークス、当初京都芝2000mで行われていた。1996年以降は秋華賞トライアルとなり阪神に移動した。2007年からは阪神芝1800mとなり、過去4度中京芝2000mでも開催され、2024年も中京開催予定である。そんなローズステークスの歴史から5つのレースをピックアップして紹介する。

Sinhalite
第34回ローズステークスのシンハライト

⑤2016年(勝ち馬シンハライト)

 アニメイトバイオの勝利から6年が経った、2016年のローズステークス。この年の注目は、桜花賞馬vsオークス馬の対決であった。

 桜花賞馬はジュエラー。4角17番手という絶望的な位置から、レース上がりを1秒3上回る驚異的な末脚で差し切って勝利し、最初の1冠を奪取した。しかし、その後に骨折が判明。オークスへの出走は叶わなかった。

 そのオークスを制したのは、桜花賞でジュエラーのハナ差2着に敗れていたシンハライト。桜花賞での鬱憤を晴らす鮮やかな勝利で、樫の盾を獲得した。

 そして、夏を経てのローズステークス。ジュエラーが怪我から復帰し、桜花賞馬vsオークス馬の対決が再び実現した。実はこの2頭、桜花賞トライアルのチューリップ賞でも対戦しており、その時はシンハライトがハナ差で勝利。ここまで1勝1敗で、ともにハナ差の接戦を演じていた。

 人気は、順調度に勝るシンハライトが単勝1.6倍の1番人気。ジュエラーは単勝3.7倍の2番人気に支持され、単勝10倍を切るのはこの2頭のみと、完全な一騎打ちムードで発走を迎えた。
レースは、最内枠を利してクロコスミアがハナを切り、アットザシーサイドがスッと2番手につける。ジュエラーは桜花賞の時と違い、好位馬群の中からの競馬となり、シンハライトは中団やや後ろの外めにつける展開。前半1000mの通過は59.9秒というやや緩めの流れで進み、先行集団は一団のまま4角を回り、最後の直線へと向かう。
 
 前は、逃げるクロコスミアにアットザシーサイドが並びかけようとするがなかなか差が詰まらず、逆にカイザーバルが2番手に浮上して、前を追いかける。そのすぐ後ろで満を持して外に持ち出したジュエラーだったが、久々のぶんか追っての反応がひと息。どの馬も決め手を欠いてクロコスミアを捕え切れない中、大外から伸びてきたのがシンハライト。最内で粘り込みを図るクロコスミアとの差を一気に詰めると、最後はほぼ並んでの入線。写真判定の末、ハナ差でシンハライトの勝利となった。クロコスミアから半馬身遅れた3着にはカイザーバルが入り、伸びを欠いたジュエラーは11着に敗れた。

 勝ったシンハライトは、大本命と目された秋華賞に向けて調整されていたが、その過程で屈腱炎を発症。秋華賞への出走を断念して休養に入ったが、そのまま現役引退が発表され、結果的にローズステークスが引退レースとなった。
ちなみにライバルのジュエラーも、秋華賞4着後に脚部不安が続き、シンハライトの後を追うように現役引退。古馬になってからのこの2頭の対決を見たかった、というファンの声も多く聞かれる、人気の高い2頭であった。

(文●中西友馬)

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