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激論必至!最強世代の中の“最強世代”は?(1)誰もが認める黄金世代。世界に挑んだ98クラシック世代

text by 中西友馬

最強世代論争。競馬ファンの中で永遠に終わらない議題の一つだ。今回は、独自に最強世代5選をピックアップ。「なぜあの世代が入っていないんだ」と思われる部分もあるかもしれないが、5つに絞るのはかなり困難をきわめたため、そこはどうかご容赦いただきたい。それでは、年代順にひとつずつ紹介していく。1つ目は、1998年のクラシック世代。

Generation_1998
1998年クラシック世代

①1998年クラシック世代

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■GⅠ勝利数 中央23勝、地方5勝、海外3勝 合計31勝
■主な活躍馬
スペシャルウィーク(東京優駿、天皇賞・春、天皇賞・秋、ジャパンC)
グラスワンダー(朝日杯3歳S、宝塚記念、有馬記念連覇)
セイウンスカイ(皐月賞、菊花賞)
キングヘイロー(高松宮記念)
エルコンドルパサー(NHKマイルC、ジャパンC、サンクルー大賞、凱旋門賞2着)
ファレノプシス(桜花賞、秋華賞、エリザベス女王杯)
エアジハード(安田記念、マイルCS)
マイネルラヴ(スプリンターズS)
アグネスワールド(アベイ・ド・ロンシャン賞、ジュライC)
ウイングアロー(フェブラリーS、ジャパンカップダート)
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 最初に取り上げるのは、世間的にも「黄金世代」と呼ばれることの多い、1998年クラシック組。

 スターホース揃いの牡馬の中で、最初に頭角を現したのは外国産馬グラスワンダーであった。デビューから3戦3勝、2着につけた着差は合計14馬身という圧倒的な強さを誇り、迎えた朝日杯3歳Sでも快勝した。しかし、その後骨折により4歳(現3歳)春は全休。当時はまだクラシックに外国産馬は出走する権利はなかったのだが、春の大目標であるNHKマイルCにも出走は叶わなかった。

 そのNHKマイルCを制したのが、同じく外国産馬でクラシック出走の権利がなかったエルコンドルパサー。ダートで3連勝、芝も2戦2勝と、デビューから無傷の5連勝での戴冠であった。

 この2頭は外国産馬のためクラシックには縁がなかったが、この世代のクラシック2冠を制覇したのがセイウンスカイ。年明けデビューでありながら、皐月賞と菊花賞を制覇した。古馬になってからはG1タイトルに恵まれなかったが、98年の牡馬クラシックでは一番輝いていたと言っても過言ではなかった。

 結果的にそのセイウンスカイの3冠を阻止する形となったのが、3冠全てで1番人気を背負ったスペシャルウィーク。日本ダービーでは5馬身差の圧勝で、鞍上の武豊騎手に初のダービー制覇もプレゼントした。

 そして迎えた4歳秋。天皇賞(秋)こそ4歳馬の出走はなかったが、ジャパンCではエルコンドルパサー、有馬記念ではグラスワンダーがそれぞれ古馬勢を撃破した。

 エルコンドルパサーは翌年、長期のフランス遠征へと旅立ち、凱旋門賞ではモンジューの2着と好走。ジャパンCを最後に日本で走ることはなかったため、スペシャルウィークとは最後まで対戦することがなかった。

 一方、スペシャルウィークは、古馬になってから天皇賞(春)、天皇賞(秋)、ジャパンCを制覇。ダービーを合わせてG1・4勝を挙げた。また、ジャパンCではモンジューに完勝している。

 そんなスペシャルウィークの古馬中長距離G1完全制覇を阻止したのが、グランプリ3連覇を果たしたグラスワンダー。宝塚記念と有馬記念、出走馬を決めるファン投票が行われる2つのレースで、スペシャルウィークを下して勝利を収めた。4歳時の有馬記念と合わせ、グランプリ3連覇を果たした。特に1999年の有馬記念、スペシャルウィークとの4センチ差の争いは、今も日本の競馬史に残る名勝負であった。

※文章中の馬齢は当時の表記

【了】

(文●中西友馬

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