【東京新聞杯 有力馬診断】好メンバーが揃い混戦模様。展開やトラックバイアスに注意を払いたい一戦
2月9日、東京競馬場にて行われるG3東京新聞杯に向けて、『競馬の教科書(オーパーツ・パブリッシング)』の著者・玉嶋亮がXアカウントで有力馬の評価を行っている。この記事では、◎候補と△候補に分けて各馬を分析し、東京新聞杯の行方を占う。
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◎候補馬(軸候補)
サクラトゥジュール
京都金杯では、直線で狭いところを抜けながらもしっかりと差し切り、快勝。昨年の東京新聞杯を制した実績もあり、連覇の期待がかかる。ただし、昨年は『イン有利』のトラックバイアスに恵まれた面もあり、過信は禁物。今年のメンバーは昨年よりも層が厚く、楽な戦いにはならない。
ブレイディヴェーグ
エリザベス女王杯では、3歳にして古馬を相手にG1制覇。例年に比べるとレベルが低い一戦だったが、一発回答で勝ち切った内容は評価に値する。府中牝馬ステークスでは、シンティレーションらを寄せ付けず、貫禄の楽勝。マイル路線は『大関』クラスが不在の混沌とした状況であり、能力最上位クラスとして評価するのが妥当。
ボンドガール
昨春は桜花賞の出走が叶わず、ニュージーランドT、NHKマイルCのローテーションを選択。秋には秋華賞で2着と健闘したが、今年は再びマイル路線に舵を切った。中距離でも控える競馬ができる適性を示していたが、2000m路線はトップクラスの牡馬が集まるため、『小結』クラスのボンドガールには厳しい。一方で、混戦模様のマイル路線であれば、重賞戦線で上位争いが可能な実力を持つ。
ジュンブロッサム
関屋記念では、前残りの展開を最後方から3着まで押し上げ、重賞級の能力を証明。富士ステークスでは、ソウルラッシュを外から捕らえて快勝。斤量のハンデを考慮すると、ほぼ互角の内容だった。マイルCSでは惨敗したが、富士ステークスのパフォーマンスを発揮できれば、ここでも最上位クラスの力を示せる可能性が高い。
△候補馬
ジオグリフ
一時期は低迷していたが、中山記念で再度芝に戻り2着、札幌記念で3着と復調傾向。どちらも『イン有利』または『前残り』の展開バイアスに恵まれた内容だった。東京新聞杯でも、同様にトラックバイアスや展開が向けば好走可能だ。
ウォーターリヒト
京都金杯では、大外から豪快な末脚で2着。しかし、3,4コーナーでは距離ロスを極力抑えた立ち回りで、実際の見た目ほど大味な競馬ではなかった。直線ではサクラトゥジュールと並びながら伸びたが、最後は力負け。京都金杯と比べてメンバーが強化される東京新聞杯では、抑え候補までの評価が妥当か。
マテンロウスカイ
中山記念は『前残り』の展開バイアスに助けられた競馬で、2着のドーブネもオープン特別レベルの馬だったことを考えると評価は微妙。天皇賞秋では、5着と健闘したが、これもホウオウビスケッツが前に残れる展開であったため、過信は禁物。東京新聞杯では、同じく前残りの展開になれば浮上するが、能力的には上位馬に見劣りする。
オフトレイル
スワンSでは、アグリとウインカーネリアンの激しい先行争いの影響で、極端な差し優位の展開バイアスが発生。これに乗じて2着に好走。阪神カップでは、セリフォスやママコチャに先着するなど、能力の片鱗を見せた。展開次第では強烈な末脚を発揮するタイプなので、展開が向けば浮上する可能性はある。
セオ
都大路ステークスでは、重賞2勝のアルナシームを完封。レース内容自体のレベルは高くなかったが、楽に2番手を追走しながら上がり33.5を記録する好内容だった。東京新聞杯の舞台では、先週同様に前有利のトラックバイアスが続くようならば、浮上する余地は十分にある。
【了】
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<プロフィール>
玉嶋亮(たましま・りょう)
1985年生まれ。本業を抱え時間の制約があるため、芝オープンクラスのみにフィールドを限定している。「能力比較」「馬場読み」を中核のファクターとして、パドックや追い切り等は一切見ないスタイル。2021年凱旋門賞の単勝万馬券、2022年AJCCの三連単288万円等の的中実績がある。「単勝多点」「変則フォーメーション」「複勝チャレンジ」等多彩な馬券術に定評があり、設計回収率=130%を公言し、累計回収率=148%を記録している。旧作「競馬の教科書(ピンク本)」は、個人出版ながら異例の大ヒットを記録し、2022年11月にベストセラーの座を譲らないまま絶版した。アマチュア最強の予想屋、日本一の競馬作家になるのが目標。
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