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【天皇賞(秋) 有力馬診断】ドウデュースとリバティアイランド。抜けた2頭に肉薄するのは誰だ

10月27日、東京競馬場にて行われる天皇賞(秋)に向けて、『競馬の教科書(オーパーツ・パブリッシング)』の著者・玉嶋亮がXアカウントで有力馬の評価を行っている。この記事では、玉嶋のXに投稿された内容をまとめ、◎候補と△候補に分類された馬を分析していく。

Justin Palace

◎候補馬(軸候補)

ジャスティンパレス
去年の有馬記念では、イクイノックスが前を一掃した後に追い込んで2着。最大出力的にはリバティアイランドやドウデュースに次ぐ能力水準を誇る。宝塚記念では道悪に泣いたものの、この馬の強みは出力安定感の高さにある。MI値86ptを叩き出し、展開に左右されない形で常に80pt台中盤をマークする優等生だ。後方一気の末脚を武器にしており、展開次第ではリバティアイランドやドウデュースをまとめて差し切る一発の可能性も十分にある。

ドウデュース
古馬になってからは一時期不安定な成績となったが、去年の有馬記念では文句無しの強さを見せた。オールカマーでは若干衰えの兆候が見られたとはいえ、単騎逃げで恵まれたタイトルホルダーや、最高スタートを決めたスターズオンアースを寄せ付けず完勝した内容から、依然として現役最強クラスの能力を維持している。ドバイや宝塚記念では出遅れや道悪、進路争いで不発に終わったが、去年の有馬記念のパフォーマンスが発揮されれば、リバティアイランドを倒せる唯一の馬と言えるだろう。

リバティアイランド
ジャパンカップでは、日本競馬史上最強馬MI値=100ptを誇るイクイノックスに敗れたものの、3着のスターズオンアースには力でねじ伏せた内容だった。阪神JF以降、牝馬三冠を筆頭に圧倒的なパフォーマンスを見せ、国内でイクイノックス以外には一度も敗れていない。その戦績はほぼパーフェクトと言って良い。ドウデュースと同等以上の能力を持つ現役最強クラスの馬として、今回も重い印を打つべきだろう。

△候補馬

ステラヴェローチェ
オールカマーでは不発に終わったが、札幌記念では前残りの展開を活かして3着を確保。2着のジオグリフとは大阪杯での着順が入れ替わる形となった。能力的には互角で、G1クラスではやや荷が重いが、G2クラスではトップクラスの実力を持つ。安田記念では香港の中距離歴代最強馬であるロマンチックウォリアーに競り合うも、直線で撃沈。格の違いを見せつけられた形だが、相手が悪すぎたと言える。天皇賞秋では展開やトラックバイアスの助けが必要だが、当落線上の馬として注目。

ソールオリエンス
皐月賞を制し、ダービーで2着となり、世代上位の力を示したが、その後はやや低迷気味。宝塚記念では外から追い込んで2着に入ったが、皐月賞では前崩れの展開バイアスの助けがあったため、絶対的な強さはないと言われている。ダービーで評価を下げたのもそのためだが、宝塚記念での好走は不良馬場の適性による可能性が高い。展開次第では好走が期待できるが、差しが届く展開が必要。

タスティエーラ
4歳牡馬の世代は低レベルとされる中で、ダービー馬として活躍。皐月賞、菊花賞でも世代トップクラスの実績を残したが、有馬記念ではジャスティンパレスとの攻防で格の違いを見せつけられた。年明けの大阪杯や天皇賞春では見せ場がなく敗れ、春先のパフォーマンスが物足りないものとなった。天皇賞秋では中堅どころの層が厚く、厳しい戦いが予想されるが、ダービーの走りが戻れば好走の可能性はある。

ダノンベルーガ
去年の天皇賞秋では、先に抜け出したイクイノックスに完敗したが、後方から追い込んできたジャスティンパレスやプログノーシスに差されて4着に終わった。ただし、イクイノックスが前を一掃する形での展開だったことを考慮すれば、同情の余地はある。MI値=86ptの能力を持つ『関脇』クラスの馬であり、ドウデュースやリバティアイランドには劣るものの、上位進出の可能性は十分にある。

ベラジオオペラ
先行力があり、馬なりで良いポジションを取れるタイプの馬。大阪杯では好スタートから絶好のポジションを確保し、マクってきたローシャムパークを振り切って勝利。宝塚記念では先行策を取ったものの、直線では差し馬に競り負けて3着となった。能力的にはリバティアイランドやドウデュースには劣るが、2番手集団としてヒモに一考の余地がある。イン有利のトラックバイアスや枠順次第で逃げ残りも警戒。

ホウオウビスケッツ
今年に入って力を付け始め、函館記念で1着、毎日王冠で2着と好走。単騎逃げに恵まれた展開バイアスもあり、力を付けているものの高い評価は不要。逃げ馬としてのポジション争い次第では、スイッチが入り掛かりやすい気性が懸念される。展開バイアスや内枠に恵まれるなど、好条件が揃えば好走する可能性はあるが、天皇賞秋では厳しい戦いが予想される。

レーベンスティール
去年のセントライト記念ではモレイラ騎手がインの絶好位を確保し、イン有利の展開バイアスも味方にして快勝。その後、エプソムカップでも完勝を収めたが、オールカマーは低レベルなメンバー構成で勝利した。国内一線級の馬とはほぼ未対戦であり、天皇賞秋が試金石となるレースだが、4歳牡馬の中で主役級が一線級に通用していないため、レーベンスティールも同等程度の評価が妥当だろう。


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<プロフィール>
玉嶋亮(たましま・りょう)
1985年生まれ。本業を抱え時間の制約があるため、芝オープンクラスのみにフィールドを限定している。「能力比較」「馬場読み」を中核のファクターとして、パドックや追い切り等は一切見ないスタイル。2021年凱旋門賞の単勝万馬券、2022年AJCCの三連単288万円等の的中実績がある。「単勝多点」「変則フォーメーション」「複勝チャレンジ」等多彩な馬券術に定評があり、設計回収率=130%を公言し、累計回収率=148%を記録している。旧作「競馬の教科書(ピンク本)」は、個人出版ながら異例の大ヒットを記録し、2022年11月にベストセラーの座を譲らないまま絶版した。2024年10月に新著『競馬の教科書 秋G1特別増刊号』を刊行。アマチュア最強の予想屋、日本一の競馬作家になるのが目標。

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