【レース条件評価】
今回はなんといっても2400mという距離への適性、延長への対応力がキーになる。
血統的には両者とも不安を抱えている。エンブロイダリーは父がマイルGⅠを3勝したアドマイヤマーズで、その父がダイワメジャー。アドマイヤマーズ産駒はこれが初年度のため、まだ長距離がダメと決まったわけではないが、少なくともマイルよりプラスになることはないだろう。
対するアルマヴェローチェも2代母レイズアンドコールがサクラバクシンオー産駒で、現役時代に千直(新潟芝1000m)を含む1400m以下で全5勝を挙げたスプリンター。母ラクアミも全3勝が1600m以下。おじのカリボールやモンドキャンノ、半姉カリーシなど、近親の活躍馬はほぼマイル以下を主戦場としている。2400mはベストと言い難い。
ただ、アルマヴェローチェ自身の走りで言えば2歳時にタフな洋芝1800mを差して好走しているし、阪神JFも桜花賞も引っかかる面がなく、むしろ少しエンジンのかかりが遅いくらいだった。血統の先入観を抜きにすれば、距離延長に対応できそうなタイプではある。
オークスのデータをひとつ紹介すると、「1600m以下のレースを4角2番手以内で通過したことがある馬」の成績は【1-2-1-43】複勝率8.5%、単回収率9%、複回収率29%と振るわない。「マイルで先行できてしまうスピード」は2400mをこなす上で足枷となる。エンブロイダリーはクイーンCの際、前半3F34.2秒を2番手でスイスイ進んでおり、距離がよりシビアなのはコチラだろう。
レース条件評価では、距離延長に比較的対応できそうなアルマヴェローチェを優勢とする。
【結論】
●エンブロイダリー
クイーンCを超優秀なタイムで勝って桜花賞もV。マイルでの能力はアルマと同等以上。しかし血統面とマイル戦でのハイペース先行歴から、2400mには大きな不安がある。
〇アルマヴェローチェ
桜花賞で敗れたといっても着差はわずかクビ。母系に距離不安を抱えてはいるが、自身は1800m重賞を差して好走しており、折り合いも問題ない。多少の延長はおそらくこなす。
したがって、今回はアルマヴェローチェを「買うべき馬」に選定します!
※前日の馬場状態まで考慮した最終結論は「競馬ナイト」(https://keiba-night.com/)で公開
【直近のGⅠ二者択一】
レース名 | 買うべき馬 | 着順 | 対抗馬 | 着順 | 結果 |
---|---|---|---|---|---|
桜花賞 | ○エンブロイダリー | 1着 | ●アルマヴェローチェ | 2着 | 勝 |
皐月賞 | ○クロワデュノール | 2着 | ●エリキング | 11着 | 勝 |
天皇賞(春) | ○サンライズアース | 4着 | ●ヘデントール | 1着 | 負 |
NHKマイルC | ○アドマイヤズーム | 14着 | ●イミグラントソング | 11着 | 負 |
ヴィクトリアマイル | ○アスコリピチェーノ | 1着 | ●ステレンボッシュ | 8着 | 勝 |
優駿牝馬 | ○アルマヴェローチェ | – | ●エンブロイダリー | – | – |
【了】
(文●鈴木ユウヤ)
<プロフィール>
鈴木ユウヤ(@ysuzuki_keiba)
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、Xやブログ『競馬ナイト』で発信している。「ワイド1点買い」の使い手。2024年の中央GⅠで回収率130%を達成。
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