HOME » ニュース » 【菊花賞 有力馬診断】混戦模様の淀の決戦。軸にふさわしいのは春の実績馬? それとも……

【菊花賞 有力馬診断】混戦模様の淀の決戦。軸にふさわしいのは春の実績馬? それとも……

10月20日、京都競馬場にて行われる菊花賞に向けて、『競馬の教科書(オーパーツ・パブリッシング)』の著者・玉嶋亮がXアカウントで有力馬の評価を行っている。この記事では、玉嶋のXに投稿された内容をまとめ、◎候補と△候補に分類された馬を分析していく。

Urban Chic

◎候補馬(軸候補)

アーバンシック
セントライト記念では、やや掛かり気味ながらも、インで脚を溜め、3,4コーナーから進出。直線では、外から動いていったコスモキュランダを捕まえて突き抜けた。一方で、セントライト記念は1枠から展開バイアスを味方にした内容であり、コスモキュランダとの勝負付けはまだ済んでいない。皐月賞では、先に動いたコスモキュランダが勝ちに等しい2着を決めており、逆転の目も十分に考えられる。また、2200mのセントライト記念でさえ掛かり気味だった挙動は、菊花賞の3000m戦で不安材料となる可能性がある。能力的にはコスモキュランダとほぼ互角の評価だ。

コスモキュランダ
弥生賞では早めにマクってシンエンペラーを寄せ付けず快勝。その後、皐月賞でもジャスティンミラノに差のない2着を決め、NHKマイルを圧勝したジャンタルマンタルに先着するという内容から、非常に価値の高いパフォーマンスを見せた。皐月賞での走りは、3歳世代の中でも五指に入る内容だ。ダービーではスタート直後に出遅れ、ほぼ最後方からの競馬を強いられ、さらにSペースの展開が重なり苦戦を強いられたが、これは度外視可能。セントライト記念では外から早めに自ら主導権を握り、マクって2着と結果を出している。アーバンシックがインで脚を溜めての競馬だったことを考慮すれば、菊花賞への準備としては悲観すべき結果ではない。3000mの長距離戦で、主導権を握れる機動力は大きな武器となるだろう。

ダノンデサイル
ダービーでの勝利は、Sペースの内枠で展開に恵まれたとはいえ、ジャスティンミラノを千切っての圧勝という結果から、世代最上位クラスの能力を示した。適性面での不安はあるが、その実力からして単独トップの評価が妥当。菊花賞では未知の3000m戦となるが、長距離でのロングスパートに対応できるかが鍵。適性面にリスクはあるが、トップ候補であることは揺るがない。

メイショウタバル
神戸新聞杯では、毎日杯で見せたような大逃げを打ち、再び圧勝。皐月賞では同じ戦法でガス欠となり惨敗したものの、神戸新聞杯の走りでその実力を証明した。菊花賞でも「大逃げ」の作戦が功を奏す可能性があり、誰も競りかけなければ一人旅で逃げ切り勝ちのシナリオも十分にあり得る。レース展開が大きく左右するが、注目すべき1頭だ。

ヘデントール
日本海Sでは余裕のある勝ちっぷりで、すでにオープン特別でも十分に通用する実力を見せている。これまでの実績を考えれば、クラシック上位馬にも肉薄できる可能性がある。特に、ダノンデサイルやアーバンシック、コスモキュランダといった有力馬たちと対戦してみなければわからない部分はあるものの、上位争いに食い込む力は秘めている。展開や人気次第で一発を狙える存在だ。

△候補馬

エコロヴァルツ
セントライト記念ではインで脚を溜める展開に恵まれたものの、アーバンシックとコスモキュランダには大きく離されての完敗だった。特にコスモキュランダが外からマクって距離ロスがあったにもかかわらず先着した点は、両馬の差を如実に示している。菊花賞でも展開に恵まれたとしても逆転の可能性は極めて低い。上位馬が揃う今回のレースでは、好走は期待できても勝利は難しいだろう。当落線上の存在と言える。

メリオーレム
神戸新聞杯では、初めてタイトな馬群でのレースとなり、能力を発揮できなかったことが敗因と考えられる。2勝クラスでは圧倒的な内容で勝ち上がり、その勝ちっぷりから神戸新聞杯でも1番人気に推されたが、結果は伴わなかった。今の時点で3勝クラスを楽に勝ち上がれる素養があるが、菊花賞では流石に荷が重い。ただし、条件が恵まれた場合には好走する可能性はあるため、当落線上の馬として注目しておきたい。


【関連記事】
競走馬の能力を正しく分析する重要性。「MI値」とは
なぜ“馬場読み”が重要なのか。トラックバイアスを考察する
回収率アップの秘訣とは!? “ビギナーズラック”にヒントあり
“伝家の宝刀”MI値の詳細解説と実践的な活用法
2024年秋のG1戦線を展望! トラックバイアスと世代間比較


<プロフィール>
玉嶋亮(たましま・りょう)
1985年生まれ。本業を抱え時間の制約があるため、芝オープンクラスのみにフィールドを限定している。「能力比較」「馬場読み」を中核のファクターとして、パドックや追い切り等は一切見ないスタイル。2021年凱旋門賞の単勝万馬券、2022年AJCCの三連単288万円等の的中実績がある。「単勝多点」「変則フォーメーション」「複勝チャレンジ」等多彩な馬券術に定評があり、設計回収率=130%を公言し、累計回収率=148%を記録している。旧作「競馬の教科書(ピンク本)」は、個人出版ながら異例の大ヒットを記録し、2022年11月にベストセラーの座を譲らないまま絶版した。2024年10月に新著『競馬の教科書 秋G1特別増刊号』を刊行。アマチュア最強の予想屋、日本一の競馬作家になるのが目標。

▼競馬の教科書シリーズ▼
https://tamashimaryo.wixsite.com/my-site