2位 アブクマポーロ(8億2,009万円)
性別:牡馬
所属:荒山徳一(大井)→鶴田憲吉(大井)→出川克己(船橋)
戦績:32戦23勝 [23-3-3-3]
主な勝ち鞍:東京大賞典(GI)、川崎記念 (JpnI)、帝王賞 (JpnI)
フリオーソが地方競馬の賞金王となるまで1位だったのが、船橋所属のアブクマポーロだ。彼が積み上げた賞金額は8億2009万円で、今もなお2位をキープしている。1位のフリオーソとは2500万円ほどの差だが、3位のアジュディミツオーには2億3599万円もの大差をつけており、その金額の突出ぶりがよく分かる。
そんなアブクマポーロだが、デビュー当初から抜群の成績を残してきたわけではない。3歳時は1着になったり着外になったりを繰り返す成績だった。しかし、4歳時に出川厩舎へ転厩したことがきっかけで一変する。ダート戦では4歳春から5歳春まで7連勝を挙げ、一気に南関東の中距離路線でトップクラスの座に上り詰めた。それでも、交流重賞ではあと一歩勝ち切れないレースが続いていた。しかし、6歳初戦の川崎記念でついに勝利を掴むと、勢いに乗って帝王賞を含む交流重賞5連勝を達成した。盛岡で行われた南部杯では、地元の王者メイセイオペラの前に3着と敗れた。しかし、舞台が南関東に戻った東京大賞典では、見事に雪辱を果たし勝利を収めた。当時の南関東で開催されていたG1級競走すべてを1年間で制覇するという快挙を達成した。
アブクマポーロが6歳時に獲得した賞金総額は、驚異の4億5100万円。競走生涯で獲得した賞金のうち約半分を、中央・地方の強豪を相手にたった1シーズンで稼いだことになる。総賞金トップのフリオーソでさえ、キャリアハイの6歳シーズンでも年間賞金は2億1700万円と、アブクマポーロの6歳シーズンには及ばない。川崎記念・帝王賞・東京大賞典を、交流重賞に昇格して以降、同一年で制覇した馬は、2025年1月現在もアブクマポーロただ一頭である。
出走した32戦のうち、掲示板を外したのは、唯一中央の芝レース・オールカマーのみ。残りの31戦すべてで賞金を稼いできたアブクマポーロは、時代を築いた賞金王であると同時に、まさに“馬主孝行”を体現した存在であり、その圧倒的な安定感から『船橋の怪物』と称された。