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【地方馬獲得賞金ランキング トップテン】地方「生え抜き」馬のなかで最も賞金を獲得したのは?

text by 小早川涼風

地方競馬から中央に移籍し、活躍したオグリキャップやイナリワンのような名馬は多い。しかし、地方でデビューし、一貫して地方競馬で走り続けた「生え抜き」の名馬たちも数々の輝かしい実績を残している。本記事では、獲得賞金ランキング上位10頭を厳選し、それぞれの軌跡を紹介する。

10位 トーシンブリザード(4億3,198万円)

Toshin Blizzard
第3回ジャパンダートダービーを制したときのトーシンブリザード

性別:牡馬
所属:佐藤賢二(船橋)
戦績:30戦9勝 [9-3-5-13]
主な勝ち鞍:ジャパンダートダービー(JpnI)、南関東三冠、かしわ記念(JpnII)

 地方馬の獲得賞金ランキング10位は、船橋のトーシンブリザードだ。彼は数字以上に、人々の記憶に焼き付く功績を成し遂げている1頭ではないだろうか。

 船橋でデビューしたトーシンブリザードは、順調に勝ち星を重ね、南関東三冠への道を歩んだ。一冠目の羽田盃へ向けた前哨戦・京浜盃では、上がり3F36.5秒という、当時の大井競馬場では異次元の末脚を繰り出し完勝。その勢いのまま無敗で南関東三冠を達成すると、ジャパンダートダービーでも中央勢を圧倒し、1.0倍の断然人気に応えて快勝。同世代のダート馬に敵がいないことを証明した。

 なお、トーシンブリザードが東京王冠賞を制した年を最後に同レースは廃止され、翌年からジャパンダートダービーが南関東三冠に組み込まれることとなった。そのため、彼は最初で最後の『南関東四冠馬』として、今なお語り継がれている。

 そんな彼が3歳夏までに獲得した賞金は2億5750万円。この時期にこれだけの賞金を地方のダート路線で稼いだ馬は、2025年1月現在においても他にいない。故障による長期離脱後は思うような成績を残せなかったが、ジャパンダートダービーで1.0倍の支持を受けた地方馬も、南関東四冠馬も、トーシンブリザード以外には存在しない。

 南関東競馬の長い歴史の中で、トーシンブリザードはまさに唯一無二の存在なのである。

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