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8位 G1スプリンターズステークス

Lugal
第58回スプリンターズSを制した時のルガル(写真中央)


1着 ルガル
単勝 2850円
9番人気

 ルガルがマークした1分7秒0の勝ち時計は、58回の歴史をもつスプリンターズステークスの中でも破格のタイムだ。2012年に“龍王”の異名をとった快速王ロードカナロアの叩き出したコースレコード、1分6秒7に次いで2位タイの記録となった。

 そんな実力馬が、なぜ単勝28.5倍の9番人気に甘んじたのだろうか。ドゥラメンテ産駒のルガルはデビュー当初、ダートを主戦場としていた。初めて挑んだダート1200mのレースでは、あっさり3馬身半の差をつけて逃げ切り勝ち。スピード絶対値の高さを見せつけた。その後は芝の短距離戦を使われ、スプリンターとしての資質の高さを示し、頭角を現し始めた。

 23年5月の葵Sで2着、「若手ホープ」の西村淳也騎手と初コンビを組んだ11月のG3京阪杯でも2着に入り、年が明けて4歳となったルガルは、1月のG3シルクロードSで番手抜け出しの3馬身圧勝劇を披露する。直行となったG1高松宮記念では並み居る快足自慢を抑え、堂々の1番人気に支持された。

 ところが重馬場にスピードが削がれたのか、前へつけることができず、直線でも伸びを欠いて10着に大敗した。レース後には骨折も判明し、復帰まで6か月の休養を要した。

 骨折休養明け、しかも半年ぶりの実戦、まさにぶっつけ本番で迎えたのがこのスプリンターズSであった。

 その中で単勝オッズ3.0倍の1番人気に推されたのは、目下スプリント重賞2連勝中のサトノレーヴ。それに続いたのが前年の覇者ママコチャ、3番人気には春のスプリントG1王者のマッドクール。さらにスプリントG1で3度の好走経験があるナムラクレアや、前哨戦のセントウルSを快勝したトウシンマカオも人気の中心を担い、この5頭が単勝オッズ10倍を切る混戦模様となった。

 レースでは、スピードの違いをみせて逃げるピューロマジックの3番手で折り合うと、人気を集めたサトノレーヴや前年の覇者ママコチャ、春のスプリント王となったマッドクールらを尻目に、直線力強く抜け出す。さらに最後までしぶとく伸びて押し切り勝ち。春に比べて大きく跳ね上がった単勝配当とともに、鞍上の西村淳也騎手に初のG1タイトルをもたらした。

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