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Cosmo Bulk
第58回セントライト記念のコスモバルク

②2004年(勝ち馬コスモバルク)

 バランスオブゲームの勝利から2年が経った、2004年のセントライト記念。この年のクラシックで注目を集めたのは、道営の星コスモバルクの活躍であった。

 コスモバルクはホッカイドウ競馬で4戦2勝の成績を残し、JRAのレースに挑戦。初芝となった百日草特別で勝利を収めると、ラジオたんぱ杯2歳S、弥生賞と3連勝。

 過去に地方競馬出身からJRAで活躍した馬たちは、JRAに移籍するパターンがほとんどであったが、コスモバルクはホッカイドウ競馬に所属したままJRAのレースに出走し続けた。

 そして迎えた皐月賞。JRAのレースでは初めて1番人気の支持を受けるも、惜しくも2着。連勝が3でストップすると、続くダービーでも8着に敗れる。

 そして迎えた秋シーズン。ホッカイドウ競馬で久々のレースとなった北海優駿を制し、菊花賞に向けての権利取りに挑んだのが、セントライト記念であった。

 春2冠の上位馬がほかに出走していないこともあり、単勝1.3倍という断然の1番人気に推され、発走を迎えた。

 レースは、内枠を利してスマートストリームがハナを切り、コスモバルクはその直後の2番手集団から進める。しかし、外枠で壁を作れない形から引っかかってしまい、向正面ではスマートストリームを交わして先頭へと立つ。前半1000mの通過は58秒8と速めの流れで進み、スマートストリームは4角手前で後退。代わってトゥルーリーズンがコスモバルクの外に並びかけて4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線に入ると、逃げるコスモバルクとその外からトゥルーリーズン、さらにコスモバルクの内に潜り込むモエレエルコンドルに大外を伸びるホオキパウェーブと、4頭による熾烈な争い。苦しい競馬となったが、最後は地力に勝るコスモバルクがなんとか押し切って勝利。クビ差の2着にホオキパウェーブが追い込み、トゥルーリーズンが3着に入った。

 勝ったコスモバルクは、悲願のクラシック制覇に向けて菊花賞に挑戦するも、4着に敗れる。その後もG1にはなかなか手が届かなかったが、5歳となってシンガポールの地でG1エアラインズCを勝利し、嬉しいG1初制覇。この勝利は、地方所属馬初となる海外G1制覇を達成したと同時に、芝のG1制覇も地方所属馬初の快挙。まさに、記憶にも記録にも残る名馬であった。

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