HOME » コラム » 5選 » 「福永祐一とのコンビが印象深い」名馬5選! 涙のダービー初制覇や無敗の三冠制覇 » ページ 5
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第41回ジャパンカップを制したコントレイルと福永祐一騎手

⑤コントレイル

 ワグネリアンとともに悲願のダービージョッキーとなった福永は、その翌年となる2019年の秋、ある1頭の歴史的な名馬との出会いを果たす。それがコントレイルであった。

 コントレイルは2歳9月の新馬戦でデビュー。これを2馬身半差で快勝すると、2戦目の東京スポーツ杯2歳Sでは5馬身差の圧勝で、重賞初制覇を果たす。しかしその背中には、福永ではなく短期免許のR.ムーア騎手が跨っていた。デビューから2戦2勝のラインベックの主戦でもあった福永は、コントレイルではなくラインベックに騎乗予定であった。しかし騎乗停止になったことにより、東京スポーツ杯2歳S自体への参戦が不可能となっていた。

 そんな経緯もあり、次走のホープフルSではコントレイルとのコンビ復活に至る。そしてそのホープフルSで、コントレイルはG1初制覇。デビューから無敗の3戦3勝で2歳シーズンを終え、翌年のクラシック3冠へと挑むこととなる。

 1冠目の皐月賞では、最内枠がアダとなってポジションを悪くするも、落ち着いて馬群の大外へと持ち出し、サリオスをねじ伏せる勝利。2冠目のダービーでは逆に、サリオスより前のポジションを取って3馬身差の快勝。しかし一番苦しんだのが、無敗のクラシック3冠のかかった菊花賞であった。

 中団からレースを進めて徐々にポジションを上げると、残り300mで先頭に立つ。しかし、その外をぴったりマークする形で運んでいたアリストテレスとC.ルメール騎手が並びかけてくる。300mにわたる火の出るような叩き合いは、クビ差で内のコントレイルに軍配が上がった。

 この勝利によりコントレイルと福永のコンビは、シンボリルドルフ、ディープインパクトに続く、史上3頭目となる無敗でのクラシック3冠を達成。父ディープインパクトに続いての父仔制覇という大偉業であった。

 コントレイルが現役を引退した翌年となる2022年の12月、福永は調教師試験に合格。通算2728勝(中央2636勝、地方87勝、海外5勝)、G1級45勝(中央34勝、地方6勝、海外5勝)という成績で、翌年2月に鞭を置いた。

 偉大な父を持つプレッシャーや、落馬事故による腎臓摘出の大怪我などと闘いながら、27年間の騎手生活を全うした福永祐一元騎手。調教師としても、開業5ヶ月で早くも重賞初制覇を飾るなど、好スタートを切っている。今後は、自ら手綱を執ったエピファネイアやコントレイルの産駒を管理しての、重賞制覇やG1制覇にも期待がかかる。

【了】

(文●中西友馬

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