HOME » コラム » 5選 » 中山を制するものはファンの記憶に残り続ける――。スタミナと機動力が自慢の“中山の鬼”5選 » ページ 3
Sakura Laurel
第42回オールカマーを制したときのサクラローレル

③サクラローレル

 3頭目は1996年の有馬記念を制したサクラローレル。この年の天皇賞(春)で5歳にしてGⅠ馬となった、サクラローレルはまさに遅咲きの中山巧者だった。

 最初で最後となった有馬記念では、マヤノトップガン、マーベラスサンデーのグランプリホースに加え、ヒシアマゾン、ファビラスラフインのGⅠ牝馬も出走。さらに、ダート女王ホクトベガも参戦し、豪華な顔ぶれとなった。この一戦を制したサクラローレルは、中山で10戦6勝、2着1回、3着1回と勝ち方を知り尽くしていた。

 サクラローレルは、1991年の誕生時から脚部不安を抱えていた。デビューが遅れ、同期のナリタブライアンがクラシックを席巻する中、じっと自身の体質が改善されることを待ち続けるしかなかった。しかし、古馬になり、体もできあがると、代名詞の鋭い末脚を持った遅咲きの桜が本格化した。

 オープン入り後、年明けの中山金杯では、後方から早めに仕掛けると、最後は後続の追撃を振り切って重賞初制覇を飾った。このまま波に乗れるかと思われたその矢先、天皇賞(春)への調教中に骨折。命に関わるほどの重篤な故障だった。しかし、陣営はサクラローレルの才能を信じ、現役続行を決断する。

 1年以上の休養をはさんだ初戦は中山記念。皐月賞馬ジェニュインなど強豪馬が揃う中であったが、馬群後方から、目の覚めるような末脚で他馬を差し切り、長期休養明けで重賞2勝目を挙げた。続く天皇賞(春)では、ナリタブライアン、マヤノトップガンの二強対決の様相を呈していたが、外からサクラローレルが上がり最速の末脚で2頭を差し切り、GⅠ初制覇を果たした。

 その後は、宝塚記念は使わず休養に入り、秋の始動戦となったオールカマーで再びマヤノトップガンと相まみえる。ここでも、重賞2勝と相性の良い中山競馬場で末脚が炸裂。ライバルを下して、中山で重賞3勝目を挙げた。続く天皇賞(秋)では単勝1番人気に支持されるも3着に敗れたが、その後、出走した有馬記念では、再び単勝1番人気に支持される。

 マヤノトップガン、マーベラスサンデー、ファビラスラフイン、ヒシアマゾンなど強豪が揃うなか、レースでは中団待機。最終コーナーまくり気味で前を追うと、直線、先に抜け出したマヤノトップガン、マーベラスサンデーを切れ味鋭い末脚で外から捉え、見事グランプリを制覇。得意の中山でライバルたちを蹴落とし、遅咲きのサクラが中山で満開となった。

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