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Falbrav
第22回ジャパンカップを制したときのファルブラヴ(写真中右)

⑤2002年(勝ち馬ファルブラヴ)

 スペシャルウィークの勝利から3年が経った、2002年のジャパンカップ。この年は、東京競馬場が改修工事を実施。天皇賞(秋)ジャパンカップを含む秋の東京開催は、中山競馬場で行われた。

 この頃、すでにジャパンカップは日本馬優勢の年が続き、1997年のピルサドスキーが勝ったのを最後に日本馬が4年連続で勝利していた。この年も、人気の中心は日本馬3頭であった。

 1番人気は3歳馬のシンボリクリスエス。同年のダービー2着馬で、秋は神戸新聞杯を快勝後、菊花賞ではなく天皇賞(秋)を選択。古馬との初対戦となったが、これを快勝してジャパンカップに出走していた。

 2番人気は6歳馬のナリタトップロード。同世代のライバルだった、テイエムオペラオーやメイショウドトウが前年の有馬記念を最後に引退する中、6歳シーズンを迎えたナリタトップロードは重賞タイトルを3つ獲得。天皇賞(春)3着、天皇賞(秋)2着とG1でも好走を続け、衰えはまったく見られなかった。

 3番人気は4歳馬のジャングルポケット。前年のダービー馬であり、同じく前年のジャパンカップも制していた。ディフェンディングチャンピオンとして連覇を目指しての出走であったが、春先に脚部不安を発症して7ヶ月ぶりの実戦。

 さらに東京2400mで無類の強さを発揮していたことから、中山開催というのも懸念材料ではあった。この3頭が単勝3〜4倍台でひしめき合うオッズとなり、発走を迎えた。

 レースは、外枠からでもマグナーテンがハナを切り、イリジスティブルジュエルが2番手につける展開。シンボリクリスエスとナリタトップロードは並ぶようにして中団を追走。ジャングルポケットは最後方から進める形となった。

 隊列が早めに決まったことで流れはそこまで速くなく、ほぼ平均ペース。馬群は縦長にはならず、比較的一団のまま4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線に入っても、マグナーテンの脚いろは衰えず2馬身ほどのリード。その後ろは大混戦で、5頭ほどが横に広がっての争い。その中から伸び脚目立ったのはファルブラヴ。残り100mでマグナーテンを交わして先頭に立つも、ラチ沿いをサラファンが伸びてきて、外からシンボリクリスエスも追い込んでくる。

 3頭による壮絶な叩き合いは、真ん中のファルブラヴが内外の追い上げをわずかに凌ぎきって勝利。ハナ差の2着に内のサラファンが入り、シンボリクリスエスはさらにクビ差の3着となった。

 勝ったファルブラヴは、史上初となるイタリア馬によるジャパンカップ制覇を達成。直前の凱旋門賞で9着に敗れており、9番人気の伏兵であったが、その評価を覆す見事な勝利であった。

 ちなみに、鞍上のデットーリ騎手は1996年のシングスピールに続いてジャパンカップ2勝目。この前日にはイーグルカフェでJCダートを制しており、2日連続のG1制覇となった。さらに2005年には、アルカセットを操りジャパンカップ3勝目。3勝全てがハナ差という、非常に勝負強いジョッキーであった。

【了】

(文●中西友馬)

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