④1999年(勝ち馬スペシャルウィーク)
エルコンドルパサーが勝利した翌年となる、1999年のジャパンカップ。
この年の1番人気は、そのエルコンドルパサーを直前の凱旋門賞で下したモンジュー。デビューから8戦7勝2着1回という、ほぼパーフェクトな成績に加え、凱旋門賞の他にもアイルランドダービーを制覇するなど、まさに世界トップクラスの名馬であった。
凱旋門賞馬は過去4頭が出走して1996年エリシオの3着が最高成績ではあったが、昨年ジャパンカップを完勝したエルコンドルパサーをねじ伏せた馬が出走するのだから、注目を集めるのは当然であった。
対する2番人気はスペシャルウィーク。前年のジャパンカップで3着に敗れた後、5歳(現4歳)シーズンに入ってから天皇賞を春秋連覇。獲得したG1タイトルを3勝まで積み上げ、モンジューを迎え撃つ日本馬代表の地位を確固たるものとしていた。
レースは、アンブラスモアがハナを切り、スティンガーが2番手につける。スペシャルウィークは中団やや後ろから進め、モンジューはさらに後ろの後方2番手あたりを追走する形となった。
ほぼ平均ペースで流れている割には縦長の馬群となり、3角では逃げるアンブラスモアが2番手以降に10馬身近いリードを広げる。その差を後続各馬が一気に詰める形で馬群が凝縮し、4角を回って最後の直線へと向かう。
直線に入ると、各馬が内外に大きく広がっての追い比べ。わずかにアンブラスモアが先頭をキープしていたが、残り300mあたりで内からインディジェナスと外からスペシャルウィークが伸びてきて、逃げるアンブラスモアを一気に交わしていく。
馬場の真ん中で早めに先頭へと立ったスペシャルウィークに対して、内で抵抗を見せるインディジェナス。さらに外からハイライズとモンジューも伸びてきて、後続を離した4頭による争い。
前年は苦しくなって内にササっていたスペシャルウィークだったが、この年は最後までその素振りを見せずに押し切って勝利。1馬身半差の2着にインディジェナスが入り、そこからハナ差の3着がハイライズ。モンジューはその後ろの4着となった。
勝ったスペシャルウィークは、天皇賞(秋)に続くG1連勝で、4つ目のG1タイトルを獲得。鞍上の武豊騎手はダービーに続き、ジャパンカップもスペシャルウィークとのコンビで初制覇となった。
スペシャルウィークはその後、有馬記念でグラスワンダーと歴史に残る大接戦を繰り広げた末、わずか4センチ差の2着。その結果、この年の年度代表馬は、日本で一度も走っていないエルコンドルパサーが選ばれた。
同世代のスペシャルウィークとエルコンドルパサー、そしてグラスワンダー。この3頭の中でどの馬が強いという論争は、25年経った今でも、競馬ファンにとって永遠の議題である。