③1998年(勝ち馬エルコンドルパサー)
ホーリックスとオグリキャップによるレコード決着から13年が経った、1998年のジャパンカップ。この年は、日本馬3頭が上位人気を固めていた。
1番人気は4歳(現3歳)牡馬のスペシャルウィーク。同年の3冠全てで1番人気に支持されており、ダービーではその人気に応えて5馬身差の圧勝していた。
今回が古馬との初対戦となる上に、デビューから8戦連続で手綱を執っていた武豊騎手が騎乗停止となるアクシデントで岡部騎手のテン乗りとなっても、1番人気に推されていた。
2番人気は、6歳(現5歳)牝馬のエアグルーヴ。牝馬ながら前年の天皇賞(秋)を制すと、続くジャパンカップでもピルサドスキーと僅差の2着であった。
その後、有馬記念や宝塚記念でも3着と好走するなど、牡馬相手にも互角以上の戦いを見せていた。こちらも主戦騎手は武豊騎手であったが、横山典弘騎手の騎乗となっていた。
3番人気は、スペシャルウィークと同世代のエルコンドルパサー。無敗でNHKマイルCを制覇し、古馬との初対戦となった毎日王冠でもサイレンススズカの2着に好走した。
同世代のダービー馬スペシャルウィークとは初対戦となっていた。ただ、距離に関しては千八までしか経験がなく、2400の距離は未知であった。
レースは、スタートで出遅れながらもサイレントハンターが巻き返してハナを切る。2番手にはウンガロがつけ、その直後にエルコンドルパサーが追走。さらにそのすぐ後ろにスペシャルウィークとエアグルーヴが並ぶように続き、人気3頭はいずれも好位からの競馬となった。
決して速い流れではないものの、サイレントハンターは徐々にリードを広げ、5馬身ほどのリードを保って4角を回り、最後の直線へと向かう。
直線に入ると、みるみるうちにサイレントハンターのリードはなくなり、残り400mを切ったあたりでエルコンドルパサーが先頭へと躍り出る。内からエアグルーヴ、外からスペシャルウィークが追いかけるも、それらを従えてエルコンドルパサーが先頭。
一度は半馬身差まで詰まったエアグルーヴとの差も逆に開いていき、最後は2馬身半の差をつける快勝。直線半ばから内にササり気味だったスペシャルウィークは、エアグルーヴから半馬身差の3着となった。
勝ったエルコンドルパサーは、このジャパンカップ勝利を最後に、フランスへの長期遠征を敢行。サンクルー大賞とフォワ賞を制し、最大目標の凱旋門賞でもモンジューに最後まで食い下がっての2着に好走した。
日本で走ったのはデビューから丸1年だけであったが、エアグルーヴやスペシャルウィークを寄せつけなかったこのレースは、エルコンドルパサーの強さを証明するのに十分な勝利であった。