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Rainbow Dahlia
第37回エリザベス女王杯を制したときのレインボーダリア

⑨2012年(勝ち馬レインボーダリア)

 スノーフェアリーが連覇を達成した翌年となる、2012年のエリザベス女王杯。この年はジェンティルドンナが史上4頭目となる牝馬3冠を達成したが、秋華賞後はジャパンCへと出走。

 エリザベス女王杯への出走はなかった。そこで大チャンスが巡ってきたのが、牝馬3冠でいずれもジェンティルドンナの2着に敗れていたヴィルシーナであった。

 特に秋華賞はハナ差の2着と悔しい思いをしていたため、ジェンティルドンナ不在のここは古馬相手でも負けられない一戦。古馬勢が例年と比べて手薄だと見られていたこともあり、単勝1.9倍という抜けた1番人気に推され、発走を迎えた。

 レースは、雨の降りしきる重馬場の中、レジェンドブルーがハナを切る展開。秋華賞でハナを切る競馬を見せたヴィルシーナは、ここも前々での競馬を選択し、好位の外につける。

 前半1000mの通過は62秒4。重馬場であることを差し引いても、平均からやや緩めの流れで進んでいく。レースが動いたのは、3角手前。後方にいた昨年のオークス馬エリンコートがまくり気味に動き、逃げるレジェンドブルーの外まで上がっていく。

 これを契機にペースが一気に上がり、エリンコートに抵抗するようにオールザットジャズが先頭へと立ち、4角を回って最後の直線へと向かう。

 直線に入ると、オールザットジャズが抜け出して後続とのリードを広げる。レジェンドブルーが内で抵抗するも苦しくなり、外からヴィルシーナが2番手に上がって先頭を追う。そして、さらにその外からレインボーダリアも伸びてきて、残り150mでは、オールザットジャズを交わした外の2頭の一騎打ちとなる。

 この争いをねじ伏せるように制したのは、外のレインボーダリア。交わされたヴィルシーナは、ピクシープリンセスの猛追を辛くもしのいだが、再びの2着となった。

 勝ったレインボーダリアは、単勝7番人気の伏兵。重賞初勝利が、嬉しいG1初制覇となった。これまで5勝を挙げていたが、それら全てが道悪or洋芝という、時計のかかる馬場を得意にしていたレインボーダリア。まさに勝利の虹がかかる前の、恵みの雨となったのであった。

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