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Snow Fairy
第35回エリザベス女王杯を制したときのスノーフェアリー

⑧2010年(勝ち馬スノーフェアリー)

 行った行ったの大波乱となったクィーンスプマンテの戴冠から1年が経った、2010年のエリザベス女王杯。この年もまた、衝撃的なレースとなった。

 この年の1番人気は、史上3頭目となる牝馬3冠を達成したアパパネ。同世代との勝負付けを済ませ、満を持しての古馬との初対戦であった。

 それに対して、2番人気に支持された古馬の大将格は、5歳馬のメイショウベルーガ。前年、クィーンスプマンテが勝利したエリザベス女王杯は、条件戦を勝ち上がったばかりの身で5着に健闘。その後、牡馬混合のG2を2つ制覇するなど力をつけ、今年もエリザベス女王杯に出走していた。

 3番人気は秋華賞2着の3歳馬アニメイトバイオで、4番人気はイギリスからの刺客、3歳馬のスノーフェアリー。実は、前年のエリザベス女王杯にもフランス馬のシャラナヤが出走しており、4着に健闘していた。

 しかし、スノーフェアリーは同年の英・愛オークスを制覇しており、欧州の超一流馬。日本の馬場に合うかはこの時点で未知数も、ここまでの実績馬が遠征してくるということで、戦前から注目を集めていた。この4頭までが単勝10倍を切る人気に推され、発走を迎えた。

 レースは、前年の2着馬テイエムプリキュアが、今度は自身が後続を引き離す逃げを打つ。離れた2〜3番手でセラフィックロンプとブライティアパルスが追い、人気各馬を含む4番手以降は、さらにそこから離れて縦長の展開。

 アパパネとスノーフェアリーは好位を追走し、アニメイトバイオとメイショウベルーガは中団から進めていた。前半1000mの通過は60秒1と、前年よりわずかに速いペースで流れていた。その隊列のまま4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線に入ってもテイエムプリキュアが先頭をキープしていたが、セラフィックロンプとブライティアパルスがその外へと出して襲い掛かる。しかしそれらの先行勢による先頭争いを一瞬にして交わし去ったのが、逃げ馬の内へと進路をとったスノーフェアリー。

 残り250mで一気に先頭へと駆け上がると、みるみるうちに後続を突き離す。外からアパパネやメイショウベルーガも伸びてくるが、それらははるか後ろの2着争いまで。

 抜け出したスノーフェアリーが、2着争いを制したメイショウベルーガに4馬身差をつける圧勝。史上初となる、外国馬によるエリザベス女王杯制覇を果たした。

 勝ったスノーフェアリーは、翌年の2011年も連覇を目指してエリザベス女王杯に出走。大外枠ながら上手く内に潜り込み、最後は馬群の間を割って突き抜けてみせた。

 圧勝の2010年と、苦しみながら勝ち切った2011年、勝ち方は異なっていたが、いずれも世界の脚を日本のファンにまざまざと見せつける連覇達成であった。

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