④2021年(勝ち馬パンサラッサ)
ウインブライトの勝利から4年が経った、2021年の福島記念。この年は単勝10倍以下が6頭とオッズが非常に割れており、戦前から混戦ムード。
そんな中でも単勝1番人気は、4歳馬のアラタ。1勝クラスを勝利したのは4歳4月ながら、夏の函館で2勝クラスと3勝クラスを連勝。秋の中京でケフェウスSを勝利し、4連勝で福島記念へと出走していた。ただ、その1番人気のアラタでも単勝4.1倍というオッズが、混戦模様を表していた。
レースは、内からディアンドル、外からコントラチェックも行く構えを見せるが、その間からパンサラッサがハナを切り、コントラチェックが2番手、ディアンドルが3番手という並びとなる。その後ろのステイフーリッシュまでの4頭が後続を大きく引き離し、馬群はかなり縦長となる。アラタはその離れた馬群の中、中団後方寄りにポジションを取った。
前半1000mの通過は57秒3という、かなりのハイペース。それだけのペースで引っ張っていても、先頭のパンサラッサはまだ手ごたえ十分。2〜4番手の各馬を突き離して4角を回り、最後の直線へと向かう。
直線に入ると、パンサラッサのリードは7〜8馬身ほど。2番手はステイフーリッシュを巡り、その外から伸びてきたヒュミドールとアラタを加えた3頭による争い。しかしそれらを尻目に、4馬身のリードを保ったパンサラッサが逃げ切り勝ち。激戦の2番手争いはヒュミドールが制し、半馬身差の3着に敗れたアラタは連勝が4でストップした。
勝ったパンサラッサはこれが重賞初制覇。続く有馬記念でも大逃げを打って会場を沸かせると、翌年は中山記念とドバイターフで連勝を飾る。さらに天皇賞(秋)でも、大逃げでイクイノックスを最後まで苦しめ、2着に逃げ粘った。
翌年の6歳シーズンには、当時のレートで1着賞金13億円超のサウジカップで優勝を果たした。国内・海外問わず、芝・ダートも問わず、逃げの一手で結果を残してサウジドリームまで掴んだパンサラッサ。その快進撃は、この福島記念から始まったといっても過言ではない。