HOME » コラム » 5選 » “令和の逃走王”パンサラッサや“香港GⅠ2勝”ウインブライトなど【福島記念 名勝負5選】 » ページ 3
ウインブライト
第53回福島記念を制したときのウインブライト

③2017年(勝ち馬ウインブライト)

 マルターズアポジーの逃げ切り勝ちから1年が経った、2017年の福島記念。この年の1番人気は、前走重賞初挑戦の小倉記念で2着に好走した、5歳馬のサンマルティン。割れたオッズの中で、単勝2.6倍と頭ひとつ抜けた人気に推されていた。

 続く2番人気は、3歳馬のウインブライト。スプリングSの勝ち馬で、春2冠の皐月賞とダービーにも出走。秋の始動戦は、距離適性の面からあえて古馬相手の毎日王冠を選択し、菊花賞へは出走していなかった。

 そして3番人気は、6歳馬のスズカデヴィアス。こちらは重賞勝ちこそなかったものの、4歳時の京都記念ではラブリーデイとハナ差の2着の実績があった。その他にも重賞戦線で何度も上位争いをしており、経験値に関してはこのメンバーでは上位のものがあった。

 この3頭に、1600万下(現3勝クラス)を勝利したばかりの軽量牝馬プリメラアスールを加えた4頭が単勝10倍以下に推され、発走を迎えた。

 レースは、最内枠からプリメラアスールがハナを切り、フェルメッツァが2番手を追走。ウインブライトはその直後の好位につけ、サンマルティンとスズカデヴィアスは並ぶように好位の後ろから進める形となった。

 前半1000mの通過は61秒6というスローペース。すると、残り1000mを切ったあたりで好位にいたマイネルミラノが動いて先頭へと立つ。この1000〜1200mは11秒4。800〜1000mが12秒7だったところから一気にペースが上がり、レースが動き始める。

 交わされたプリメラアスールは後退し、マイネルミラノの後ろはフェルメッツァとウインブライトの2頭。サンマルティンもその直後に浮上して4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線に入るとすぐに、マイネルミラノを交わしてウインブライトが先頭へと立つ。その外へと持ち出したヒストリカルがジリジリと差を詰め、さらに大外からスズカデヴィアスも脚を伸ばし、ゴール前は大激戦。

 しかし、外の2頭の追い上げを辛くもしのいだウインブライトが勝利。クビ差の2着にスズカデヴィアスが入り、さらにハナ差の3着がヒストリカルとなった。

 勝ったウインブライトは、スプリングSに続いて重賞2勝目。さらにその後、国内では中山記念連覇を果たし、海外ではQE2世Cと香港Cを勝利。この福島記念以外の重賞6勝は全て、得意とする中山とシャティン競馬場で挙げたものであった。

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