⑤2020年(勝ち馬タガノエスプレッソ)
タマモプラネットの勝利から2年が経った、2020年の京都ジャンプステークス。京都競馬場の改修工事により、阪神競馬場で行われたこの年の出走馬はたったの6頭であったが、絶対王者オジュウチョウサンが出走するということで注目を集めていた。
今さらオジュウチョウサンの実績は説明するまでもないが、この時点で障害レース13連勝中。その連勝は全て重賞によるもので、JG1も7つ含まれていた。大半の馬より2キロ重い62キロを背負っていても、単勝オッズは1.1倍という断然人気に推されていた。
そこから離れて、単勝6.8倍の2番人気はタガノエスプレッソ。こちらは、2歳時にデイリー杯2歳Sを勝っている平地の重賞馬。前走の阪神ジャンプステークスで重賞初勝利を飾り、平地・障害の両重賞制覇を達成していた。6頭立てにも関わらず、単勝10倍を切るのはこの2頭だけとなって、発走を迎えた。
レースは、タガノエスプレッソがハナを切り、オジュウチョウサンは序盤3番手から進める。その後2番手に上がったオジュウチョウサンは、2周目の向正面では先頭のタガノエスプレッソに並びかけ、プレッシャーをかけていく。わずかにタガノエスプレッソが先頭をキープしたまま4角を回り、最後の直線へと向かう。
2番手のオジュウチョウサンはいつでも先頭を交わせる態勢に見えたが、最終障害を飛越したときにはタガノエスプレッソのリードは1馬身半ほどに広がり、並びかけるところまでいけない。逆に後ろからブライトクォーツとビッグスモーキーの追い上げを許し、2番手争いが大接戦となる。
結局、最後まで先頭を譲らなかったタガノエスプレッソが逃げ切り勝ち。2着には最後に浮上したブライトクォーツが入り、最後苦しくなったオジュウチョウサンは3着。障害レースの連勝は13でストップした。
大金星を挙げたタガノエスプレッソはその後、JG1制覇こそならなかったが、10歳となって迎えた京都ハイジャンプで重賞3勝目を挙げた。結果的に引退レースとなったが、見事に有終の美を飾った。
このように、後にJG1を制覇する馬たちが勝利した年もあれば、オジュウチョウサンのようなスターホースが負けてしまう年など、見応えのある京都ジャンプステークス。京都HJとこのレースの年2回しか使われることのない「3段跳び」バンケットにも、ぜひ注目して見ていただきたい。
(文●中西友馬)
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