⑤2018年(勝ち馬アドマイヤマーズ)
ジャンダルムが勝利した翌年となる、2018年のデイリー杯2歳ステークス。この年の主役は、後に国内外でG1タイトルを3つ獲得するアドマイヤマーズであった。
アドマイヤマーズは、新馬戦こそ後の重賞3勝馬ケイデンスコールにハナ差まで迫られるも、2戦目の中京2歳Sを3馬身差で快勝。2戦2勝でここに出走し、単勝オッズは1.8倍の1番人気に推されていた。続く2番人気はダノンジャスティス。新馬戦を勝ったばかりの1戦1勝での出走だったが、前進気勢の強い馬だけに、千四からの距離延長が鍵と見られていた。
そして3番人気は牝馬のドナウデルタ。重賞2勝馬ドナウブルーを母に持つ良血馬であった。2戦目の未勝利戦を勝ち上がったばかりで、こちらも千四からの距離延長となっていた。この3頭が単勝10倍を切るオッズに推され、発走を迎えた。
レースは、デビューから2戦は好位から競馬をしていたアドマイヤマーズがハナを切る展開。すぐ外にメイショウショウブがつけ、ダノンジャスティスは中団の外から進める。ドナウデルタはダノンジャスティスのすぐ後ろ、中団後方寄りにポジションを取った。逃げ馬ではないアドマイヤマーズがハナを切ったため、マイル重賞とは思えないほど遅いペースで進み、我慢し切れないダノンジャスティスは外からスーッと3番手辺りまでポジションを上げる。そして4角を回って、最後の直線へと向かう。
直線に入ると、外からメイショウショウブが先頭に立つも、内でアドマイヤマーズも抵抗を見せる。後続勢も伸びていないわけではないが、前半楽なペースで進めていた前の2頭との差は詰まらず。ダノンジャスティスは、引っかかり気味だったためか直線に入ってから伸びあぐね、ドナウデルタは前が壁で思うように進路を見つけられない。
前は、残り100mから差し返し気味にグイっと伸びたアドマイヤマーズが、メイショウショウブを振り切って勝利。メイショウショウブから2馬身半離れた3着は、道中後方待機のハッピーアワーが外から伸びて確保した。
勝ったアドマイヤマーズは、直後の朝日杯FSも制して、4戦4勝で無敗の2歳王者に輝いた。翌年にはNHKマイルカップと香港マイルを制し、国内外で3つのG1タイトルを獲得。現役引退後は種牡馬入りも果たし、初年度産駒が2024年にデビューを果たした。
このようにデイリー杯2歳ステークス勝ち馬は、直後の2歳G1はもちろん、皐月賞やスプリンターズS、フェブラリーS(2003年勝ち馬メイショウボーラー)を制覇するなど、多岐にわたっての活躍が見られる。
また、フジノテンビーとレジェンドハンターという、2頭の公営所属馬が歴代勝ち馬に名を連ねているのも、非常に印象的である。
今後はどんな馬たちがこのレースをステップに飛躍を遂げていくのか、楽しみにしながら見ていきたい。
(文●中西友馬)
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