③2015年(勝ち馬エアスピネル)
レーヴディソールの勝利から5年が経った、2015年のデイリー杯2歳ステークス。この年は2頭の馬が人気を集め、一騎打ちの様相であった。
1番人気はシュウジ。前走こそ千二の小倉2歳Sを勝っていたが、前々走で千六の中京2歳Sも勝利していた。距離への不安はなく、新馬戦も含めて3戦3勝とパーフェクトな成績。ここも単勝1.7倍の1番人気に支持されていた。2番人気はエアスピネル。こちらは母が秋華賞馬エアメサイアという良血馬。まだ新馬戦を勝ったばかりでの重賞挑戦だったが、その新馬戦が着差以上の快勝。素質を評価され、単勝2.4倍の2番人気となっていた。
単勝10倍を切るのはこの2頭のみで、どちらが強いのかという一点にファンの注目が集まる状況で、発走を迎えた。
レースは、大外枠からでもスピードの違いでシュウジがハナを切る。少し出負け気味だったエアスピネルもすぐに巻き返し、好位の外めを追走。シュウジも積極的に逃げようとする競馬ではなかったため、ペースはかなりゆったりと流れ、4角を回って最後の直線へと向かう。
逃げるシュウジであったが、エアスピネルは直線入り口で2番手まで浮上し、追撃態勢を整える。前評判通りとなった人気2頭の一騎打ちは、残り150mで一気に交わし去ったエアスピネルに軍配。最後はシュウジに3馬身半の差をつけての快勝となった。
勝ったエアスピネルはその後、朝日杯FSに単勝1.5倍という断然の1番人気で出走。このレースは、鞍上の武豊騎手のJRA平地G1全制覇という大記録がかかっていたが、リオンディーズに及ばず2着。この時点での記録達成はならなかった。後にイベントに出席した武豊騎手が、「空気の読めないイタリア人がいたもんで…」と、リオンディーズに騎乗していたMデムーロ騎手を指す冗談で悔しさを語ったのも、非常に印象的であった。