②2010年(勝ち馬レーヴディソール)
キャプテントゥーレの勝利から3年が経った、2010年のデイリー杯2歳ステークス。この年の主役は、この年ただ1頭出走の牝馬、レーヴディソールであった。
レーヴディソールは、デビュー前から厩舎の先輩ブエナビスタの2歳時と比較されるほどに注目を浴びていた。その評判に違わず、札幌の新馬戦を快勝。そして2戦目に、牡馬相手のG2であるデイリー杯2歳ステークスを選択した。キャリア1戦、牡馬相手にただ1頭の牝馬、という不安材料があるにも関わらず、単勝2.4倍の1番人気。それだけこの馬の素質が評価されていたのであった。
対する牡馬の大将格がメイショウナルト。千二から千八へと距離延長した未勝利戦で、5馬身差の圧勝。前走の野路菊Sでは、ウインバリアシオンの2着と敗れたものの、OPクラスでも十分通用する力を見せていた。この馬が単勝4.2倍の2番人気で続き、発走を迎えた。
レースは、エイシンオスマンとクリーンエコロジーが好ダッシュを決め、外からクリーンエコロジーがハナを切る。メイショウナルトは好位のインコースを確保し、レーヴディソールは後方待機策となった。ほぼ平均ペースで進み、4角を回って最後の直線へと向かう。
前は逃げるクリーンエコロジーの外からグランプリボス、内からメイショウナルトが伸びてきて、3頭が内中外に広がっての追い比べ。残り200mで最内からメイショウナルトが抜け出すも、それを外から一気に交わし去ったのが、後方にいたレーヴディソール。そのまま突き抜けての勝利となった。2着は連れて伸びてきたアドマイヤサガスで、そこから1馬身遅れた3着には、一旦先頭のシーンがあったメイショウナルトが入った。
勝ったレーヴディソールは、アグネスタキオン産駒。先ほど紹介したキャプテントゥーレも同じ父で、なんと2009年の勝ち馬リディルもまた同じ。2007〜2010年の4年間で3勝を挙げ、アグネスタキオン産駒にとって好相性のレースであった。
レーヴディソールはその後、次走の阪神JFも制して無敗の2歳女王となった。そして翌年は、桜花賞トライアルのチューリップ賞から始動。この時の単勝オッズは1.1倍で、単勝支持率は驚異の81.4%。これは、あのディープインパクトが菊花賞でマークした79.0%を上回る、グレード制導入後の史上最高支持率であった。そしてこのレースも4馬身差の快勝。ここまでは、まさに順風満帆といえるキャリアであった。
しかし、桜花賞直前に骨折が判明。牝馬クラシックは断念することとなり、秋の復帰後2戦も精彩を欠いた。さらに、追い打ちをかけるように再度の骨折が判明し、現役生活を引退。一度目の骨折をして以降は輝きを取り戻すことができなかったが、チューリップ賞までの走りは歴代の名馬に勝るとも劣らないレース内容。怪我のない世界線を見てみたい馬であった。