③2014年(勝ち馬サンビスタ)
メーデイアが、単勝1.0倍という圧倒的な支持に応えた勝利から1年が経った、2014年の盛岡JBCレディスクラシック。
この年の1番人気は、前哨戦のレディスプレリュードで56キロを背負って快勝したワイルドフラッパー。そのレディスプレリュードを含めて重賞3勝を挙げており、単勝1.4倍という少し抜けた人気となっていた。
2番人気はサンビスタ。こちらは重賞タイトルはひとつだけだが、その1勝はワイルドフラッパーを倒してのもの。しかし、その時はサンビスタのほうが2キロ軽い斤量でのもので、レディスプレリュードでは1キロもらいながら完敗の2着。そのぶん同斤の今回は、単勝4.9倍と少し離されていた。
単勝6.0倍の3番人気はトロワボヌール。こちらは前走で1600万下(現3勝クラス)を勝ったばかりで、ダートの重賞は初挑戦。地方の深い砂への適性も未知数だが、上位人気2頭とは初対戦。未知の魅力に期待されている印象であった。この上位人気3頭が単勝10倍を切る人気に推され、発走を迎えた。
レースは、最内枠からコーリンベリーが好ダッシュを決めてハナを切る。上位人気3頭は好位から中団を占め、3頭の中で一番前につけたのはサンビスタ。その直後でサンビスタをマークするようにワイルドフラッパーが続き、トロワボヌールもそのすぐ後ろにポジションを取っていた。
レースが動いたのは3角。ワイルドフラッパーがまくり気味に上がっていき、サンビスタを交わして先頭集団の外に並びかける。そのまま4角を回り、最後の直線へと向かう。
直線入り口では、2番手から前に出たブルーチッパーが先頭に立つも、残り200mでその外からワイルドフラッパーが先頭へと入れ替わる。しかし早めに動いたぶん、最後脚が上がったワイルドフラッパーを残り100mでサンビスタが交わすと、さらに後ろから伸びてきたトロワボヌールの追撃を抑えて勝利。トロワボヌールが2着となり、ワイルドフラッパーは3着に終わった。
勝ったサンビスタは、直後のチャンピオンズカップでも単勝15番人気の低評価を覆し、4着に健闘。そしてその翌年、JBCレディスクラシック2着から挑んだチャンピオンズカップで、単勝12番人気ながら優勝を果たした。
牝馬として初めて、JRAのダートG1制覇という偉業を打ち立てた。「パワーを必要とするダート戦では、牝馬は通用しない」という、競馬界の常識が覆された瞬間であった。