④2006年(勝ち馬アストンマーチャン)
アルーリングボイスが勝利した翌年となる、2006年のファンタジーステークス。この年の勝ち馬アストンマーチャンは、新馬戦でクビ差惜敗の2着、2戦目の小倉で勝ち上がり、3戦目で小倉2歳Sを勝利。そしてファンタジーステークスでの鞍上が武豊騎手。前年覇者アルーリングボイスとの共通点が多い馬であった。
しかしこの年の1番人気は、新馬戦とマリーゴールド賞を連勝していたハロースピード。そして2番人気はクローバー賞の勝ち馬イクスキューズ。アストンマーチャンは重賞馬にも関わらず、その2頭に僅差で続く3番人気で発走を迎えた。
レースは、アストンマーチャンが一番速いスタートを切ったが、アドマイヤプルートがハナを切る展開。2番手にイクスキューズがつけ、行きたい馬を行かせたアストンマーチャンは、好位の外で前を窺う。そしてハロースピードは、後方で脚をためる展開となった。そのまま4角を回り、最後の直線へと向かう。
直線に入って少し突き放したように見えたアドマイヤプルートだが、イクスキューズとアストンマーチャンが再び差を詰める。その3頭の争いから前に出たのはアストンマーチャン。抜け出してからは後続をグングンと突き放し、5馬身差の圧勝劇。
2着には、勝ち馬と共に伸びたイクスキューズが入り、そこから1馬身半差の3着は、混戦を制したハロースピードとなった。
勝ったアストンマーチャンはその後、1番人気で臨んだ阪神JFで、後のダービー馬ウオッカにクビ差惜敗の2着。桜花賞で7着に敗れた後は短距離路線に照準を合わせ、3歳にしてスプリンターズステークスを制覇した。
3歳牝馬によるスプリンターズステークス制覇は、ニシノフラワー以来史上2頭目という快挙であった。しかし、4歳春にラインクラフトと同じ急性心不全により、天国へと旅立った。ラインクラフトと同じように、母としての活躍も見てみたい馬であった。