メイケイエールやラインクラフトが登場!2歳女王を目指す乙女たちの戦い【ファンタジーS 名勝負5選】
ファンタジーステークスは、阪神JFの前哨戦として1996年に創設され、京都競馬場の芝1400mで行われる。翌年のクラシックを見据えた有力な牝馬の登竜門ともいえるレースだ。そんなファンタジーステークスの歴史の中から、5つのレースをピックアップして紹介する。
①1997年(勝ち馬ロンドンブリッジ)
最初に取り上げるのは、第2回ファンタジーステークスとなる1997年のレース。この年の注目は、繁殖牝馬としても有名なロンドンブリッジであった。
ロンドンブリッジは、札幌でデビュー。新馬戦から単勝1.2倍と圧倒的な支持を集め、5馬身差で圧勝した。2戦目の500万下(現1勝クラス)では単勝1.1倍とさらに人気を集め、今度は6馬身差の圧勝でそれに応えてみせた。そして3戦目に選んだのが、重賞初挑戦となるファンタジーステークスであった。
ロンドンブリッジはデビューからの2戦ともに1200mだったため、初の1400m戦であった。さらに2戦ともにスピードの違いで前に行っての圧勝だったため、揉まれる競馬も経験していなかった。しかしここまで見せてきた圧倒的なパフォーマンスへの期待は高く、ここでも単勝1.4倍という断然の人気に推されて発走を迎えた。
レースは、ロンドンブリッジがスタートで出遅れる波乱の幕開け。レディステラがハナを切り、ロンドンブリッジは巻き返して3番手辺りを確保するも、デビュー以来初めて前に馬を置く形で競馬を進める。そして、その隊列のまま4角を回って直線へと向かう。
これまでの2戦とは違う苦しい展開かとも思われたが、3番手からアッサリ抜け出し1馬身半差の快勝。デビューから無傷の3連勝で、重賞初制覇を果たした。
ロンドンブリッジはその後、主役と目されていた阪神3歳牝馬S(現阪神JF)を回避。その阪神3歳牝馬Sは1番人気がファンタジーステークス2着のシンコウノビーで、勝ったのはファンタジーステークスで7着のアインブライドであった。
競馬に絶対はないが、もしロンドンブリッジが万全な態勢で出走できていれば、勝ち負けになっていた可能性は高いだろう。
4歳(現3歳)になってからの3戦では、桜花賞2着があったものの未勝利。オークス後に屈腱炎を発症して、現役引退となった。
引退後は繁殖牝馬となり、初仔のダイワエルシエーロがオークスを制覇。クラシックに縁のなかった自身の無念を晴らすと、そのほかにも重賞馬を2頭輩出した。その類まれなスピードは、産駒にしっかりと受け継がれている。