⑨2021年(勝ち馬エフフォーリア)
3強対決を制したウオッカの勝利から13年が経った2021年の天皇賞(秋)。この年も3強対決に注目が集まっていた。
1番人気は、4歳牡馬のコントレイル。前年の2010年、無敗での3冠を達成していた。3冠達成後はG1での惜敗が続いていたが、菊花賞以来となる勝利が期待されていた。
2番人気は、5歳牝馬のグランアレグリア。こちらは既にG1タイトルを5つ獲得していたが、うち4つは芝1600mで、残り1つは芝1200mによるもの。芝2000mで行われる天皇賞(秋)を制しての、3階級制覇を目指していた。
そして、3番人気は3歳牡馬のエフフォーリア。無敗で皐月賞を制し、前年のコントレイルに続き、無敗のダービー制覇に挑戦したが、シャフリヤールにハナ差惜敗。無敗の3冠馬への夢が潰えたこともあり、秋は距離適性の高い天皇賞(秋)へと出走してきていた。
単勝オッズは3頭が2倍台と3倍台で拮抗し、4番人気のカレンブーケドールは20倍弱。オッズ的には、13年前以上の3強対決ムード。さらには、3世代の意地がぶつかる一戦となった。
レースは、カイザーミノルがハナを切り、2番手の外につけたグランアレグリアが、大方の予想通りに人気3頭では一番前の位置どり。エフフォーリアは好位のインを追走し、コントレイルはエフフォーリアを見るようにして競馬を進めていく。前半1000mの通過は60秒5とやや遅めの流れで進み、グランアレグリアが抜群の手ごたえで先頭へと並びかけた状態で、4角を回って最後の直線へと向かう。
残り400mで敢然と先頭に抜け出したのはグランアレグリア。そしてそれを追いかけるように外へと出したエフフォーリア。さらにそれをマークする形を取っていたコントレイル。
下馬評通りの3強による争いは、残り200mでエフフォーリアがグランアレグリアを捕えて先頭へと立つ。その外からコントレイルが迫ろうとするが、直線入り口からの1馬身差はそのまま詰まることはなく、エフフォーリアが勝利。1馬身差の2着にコントレイルが入り、さらにクビ差の3着がグランアレグリアとなった。
勝ったエフフォーリアは、年末の有馬記念も勝利。同年の年度代表馬に選出された。巷には「2強対決は両雄並び立たず、3強対決は逆らうべからず」という競馬の格言があるが、2008年、2021年の天皇賞(秋)はともに、格言通りのレースとなった。