HOME » コラム » 5選 » リスグラシュー、ソダシら超名牝への登竜門【アルテミスS名勝負5選】 » ページ 4

Sodashi
第9回アルテミスSを制したときのソダシ

④2020年(勝ち馬ソダシ)

 ラッキーライラックの勝利から3年が経った2020年のアルテミスステークス。このレースを制したのは、純白の女王ソダシであった。

 ソダシは、白毛にブチ模様があることで人気を博した母ブチコの初仔。函館の芝1800mでデビューしたが、母がダートで活躍していたことと、父のクロフネもダートで底知れぬ強さを見せていた馬だったため、芝適性に疑問を感じるファンも多かった。

 しかし、2馬身半差の快勝でその不安を払拭すると、返す刀で札幌2歳ステークスも勝利。一気に重賞ウイナーまで上り詰めて迎えたのが、アルテミスステークスであった。

 ただ、ソダシはここでも懐疑的な目を向けられる。芝で連勝したが、どちらも時計のかかる洋芝でのもの。東京のマイルに対応できるのかという懸念材料はたしかにあった。それでも、唯一の重賞ウイナーということで単勝は1番人気。

 2番人気は、札幌で未勝利勝ちを収めたククナ。こちらも勝ち上がりは洋芝であったが、父キングカメハメハということで、軽い芝のほうが良さが出ると考えられていた。

 3番人気は、テンハッピーローズ。初勝利を芝1200mで挙げ、距離をマイルに延ばしたサフラン賞で2着。後に阪神ジュベナイルフィリーズと桜花賞で2着となる、サトノレイナスに食い下がる走りを見せていた。この3頭までが10倍を切るオッズで発走を迎えた。

 レースは、ソダシが好スタートを決めるが、その内からオレンジフィズがハナを切る。ソダシは2番手の外で折り合いをつけ、テンハッピーローズは中団馬群の外を追走。さらに後ろとなったククナは、後方集団で脚をためる展開となった。隊列が早めに定まったぶん、ペースは緩め。馬群はひとかたまりで、4角を回って最後の直線へと向かう。

 残り400mを切った辺りで、オレンジフィズを交わしたソダシが早くも先頭に立ち、後続との差を広げにかかる。横に広がった2番手争いは、馬群の外からテンハッピーローズが伸び、さらにその外へと出したククナも追い込んでくる。

しかし、それらはあくまで2着争い。すでにセーフティーリードを築きあげていたソダシが押し切り、勝利。2着にはテンハッピーローズを競り落としたククナが入り、テンハッピーローズはククナから半馬身差の3着となった。

 勝ったソダシは、不安説を自らの走りで打ち消すように、東京マイルの上がり33秒台での決着にも対応。その後、現役引退までにマイルG1を3勝した。白毛のインパクトもさることながら、実力も兼ね備えた本物の女王であった。

1 2 3 4 5 6