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Kitasan Black
第76回菊花賞を制したキタサンブラックの口取り式

⑨2015年(勝ち馬キタサンブラック)

 トーホウジャッカルによる世界レコードVの翌年。2015年の菊花賞を勝利したのは、のちにG1タイトルを7つ獲得する名馬、キタサンブラックであった。

 この年の春2冠の主役は、日本を代表する良血馬ドゥラメンテ。皐月賞を破天荒なレースぶりで勝利すると、ダービーもライバルたちを寄せつけずに快勝。

 オルフェーヴル以来、史上8頭目の3冠達成に向けて視界は良好に思えた。しかし秋へ向けての放牧中、骨折が判明。ドゥラメンテの3冠達成への道が閉ざされたのと同時に、菊花賞は混沌としたものとなった。

 そして迎えた菊花賞。絶対的な本命不在となったレースは、春の2冠未出走の上がり馬、リアファルが1番人気に支持され、皐月賞2着馬リアルスティールが2番人気。ダービー2着馬サトノラーゼンが3番人気で続き、ここまでが単勝10倍以下。どの馬が勝ってもG1初勝利というメンバー構成であった。

 レースは、スピリッツミノルがハナを切り、リアファルは2番手からの競馬。リアルスティールとサトノラーゼンは中団で脚をためる展開となった。レースが動いたのは向正面。動いてきたタガノエスプレッソとアルバートドックに呼応するように、3番手からミュゼエイリアンが先頭に立つ。交わされたスピリッツミノルは後退し、最後の直線へと向かう。

 途中から先頭に立ったミュゼエイリアンが逃げ切りを図るが、その外へと出してリアファルが迫る。残り200mでリアファルがミュゼエイリアンを交わすが、その2頭の間の狭いところを突いてキタサンブラックが伸びてくる。

リアファルを競り落としたキタサンブラックは、外から伸びてきたリアルスティールの追い上げもクビ差しのいで勝利。のちにG1タイトルを7つ獲得するキタサンブラックの、G1初制覇がこの菊花賞であった。

 ちなみに、この菊花賞以外のG1勝利はすべて4角2番手以内。あの出遅れた天皇賞秋ですら、4角では2番手まで浮上していた。4角8番手からの差し切り勝ちを収めたこの菊花賞は、世間に知られているキタサンブラックとは違う姿を見ることのできる、レアなレースとなった。

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