HOME » コラム » 5選 » キタサンブラックやタイトルホルダーが登場!秋の淀を彩ったクラシック最終戦【菊花賞 名勝負5選②】 » ページ 3
Toho Jackal
第75回菊花賞を制したときのトーホウジャッカル

⑧2014年(勝ち馬トーホウジャッカル)

 ソングオブウインドのレコードVから8年が経った、2014年の菊花賞。この3分02秒7を更新する「速い」タイムを叩き出したのは、デビュー149日での菊花賞制覇という「早い」記録も同時に更新した、トーホウジャッカルであった。

 この年の春のクラシックは上位拮抗。皐月賞を制したのはイスラボニータ。ダービーでも2着に入り、同世代では頭ひとつ抜け出した存在であったが、セントライト記念快勝後は、適距離の天皇賞秋参戦を発表。菊花賞への参戦はなかった。

 そうなると、期待は必然的にダービー馬ワンアンドオンリーに集まった。秋初戦の神戸新聞杯も苦しみはしたが勝利で発進。菊花賞でも1番人気に支持された。

 続く2番人気は、皐月賞2着のトゥザワールド。セントライト記念ではイスラボニータに完敗の2着も、イスラボニータ不在の菊花賞なら、人気を集めるのは当然であった。

 そして続く3番人気と4番人気には、神戸新聞杯でワンアンドオンリーに肉薄した、トーホウジャッカルとサウンズオブアースが支持を受けていた。

 レースは、サングラスがハナを切り、トーホウジャッカルとトゥザワールドは好位から進める。ワンアンドオンリーとサウンズオブアースは、その後ろの中団グループにポジションを取る展開となった。

 レースが動いたのは3角手前。逃げていたサングラスを交わし、シャンパーニュが先頭に立ってペースが上がる。連れてマイネルフロストとトーホウジャッカルが2番手に上がり、その後ろをなぞるように内からサウンズオブアースも浮上。トゥザワールドとワンアンドオンリーは外を回って前を窺っていた。そのまま4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線に入ってすぐ、シャンパーニュを交わしてマイネルフロストが先頭に立つ。しかしそれも束の間、外からトーホウジャッカルがマイネルフロストを交わし、それを目がけて最内からサウンズオブアースが接近。

 残り200mからは一騎打ちの様相だったが、迫られてから再びグイッと伸びたトーホウジャッカルが半馬身振り切って勝利。サウンズオブアースから3馬身半離れた3着にはゴールドアクターが入り、ワンアンドオンリーとトゥザワールドはそれぞれ9着、16着に敗れた。

 勝ったトーホウジャッカルがデビューしたのは、なんと日本ダービーの前日。デビューから149日での菊花賞制覇は、それまでの最短記録を更新。さらに勝ちタイムの3分01秒0は、芝3000mの世界レコードタイム。まさに「早くて速い勝利」であった。

1 2 3 4 5 6