“シルバーコレクター”では終わらない。ダンツフレーム、執念の宝塚記念制覇【レジェンドホース名鑑】

数々の名馬が歴史を彩ってきた日本競馬。この「レジェンドホース名鑑」では、ファンの心を掴んだ名馬たちを紹介する。今回取り上げるのは、G1で何度もあと一歩届かず、それでも挑戦を続けたダンツフレーム。2002年の宝塚記念で悲願のG1タイトルを手にした“不屈の名馬”の軌跡を振り返る。
ダンツフレーム(Dantsu Flame)
プロフィール
| 父 | ブライアンズタイム |
| 母 | インターピレネー |
| 生年月日 | 1998年4月19日 |
| 馬主 | 山元哲二 |
| 調教師 | 岡田一男 |
| 生産者 | 信岡牧場 |
| 通算成績 | 26戦6勝【6-6-0-14】 |
| 獲得賞金 | 5億1142万8000円 |
| 主な勝ち鞍 | 2002年 宝塚記念 |
シルバーコレクターでは終わらせない
GⅠまで“あと一歩”という所謂シルバーコレクターやブロンズコレクターと称され、人気を博す競争馬達がいる。ファンとしては愛らしいという気持ちを持つが、やはり競走馬としては偶然の副産物であり、決して望む結果ではない。
本馬もシルバーコレクターと呼ばれる代表的な競走馬であったが、それを払いのけてみせた。GⅠの舞台で幾度も2着に跳ね返されていたが、宝塚記念で栄誉と名声を掴み取った。
父はブライアンズタイムであり、母インターピレネーはベガやホクトベガと同期であった。6月に迎えたデビュー戦では2着であったが、その後は3戦3勝。クラシック戦線に向けて着々と力をつけていった。
明け3歳初戦はきさらぎ賞に出走する。すでに評判であった、アグネスタキオンと同じように期待されていたアグネスゴールドが待ち構えるなか、ダンツフレームは果敢に挑んだ。結果として1/2馬身及ばなかったものの接戦を演じ、地力を証明する。
その能力が高く評価され、次戦のアーリントンカップでは1.2倍の1番人気の支持を受ける。前残りの展開であったが、後ろから差し切りを決めて重賞初制覇を飾った。
そして迎えたクラシック一冠目の皐月賞では、別路線を進んできたアグネスタキオン、ジャングルポケットに次ぐ3番人気。3番人気といっても単勝オッズは16.8倍なので、いかに他2頭が評価されていたかが窺い知れるだろう。
レースでは絶好のスタートを切ったアグネスタキオンを捉えようと4コーナーで仕掛けていくが、異次元の強さを見せるアグネスタキオンを捉えることができず2着まで。一方、出遅れて3着になったジャングルポケットには1/2馬身差をつけた。
このアグネスタキオンという存在がいる限り、クラシックタイトルには縁がないかと思われたが、アグネスタキオンは皐月賞後に屈腱炎を発症し、引退を余儀なくされた。これによりまさしく群雄割拠となった日本ダービー。1番人気はジャングルポケット、2番人気はNHKマイルカップを勝利して臨んできたクロフネ、ダンツフレームはまたしても3番人気の評価となった。21世紀の初ダービー馬となるために負けられないゲートが開いた。
縦長の展開になるなかで、中団付近でレースを進めるダンツフレームの内にジャングルポケット、それを1馬身後ろで見るように不気味に構えるクロフネという隊列となった。4コーナーでは早くも仕掛けていたクロフネが先頭になる勢いを見せる。
しかし、残り400m過ぎたあたりで衰える脚色。それを交わす1番人気と3番人気であったが、僅かにジャングルポケットが抜け出す。その差は埋まることなく入線し、ダンツフレームはまたしても2着に敗れた。
夏は休養にあて、復帰戦で神戸新聞杯に挑み4着。菊花賞では今までの走りが評価されて2番人気で出走する。レースは異様なスローペースとなり、最後方集団で競馬をしたダンツフレームにとっては最悪な流れとなる。上り1位となる33.9秒の末脚で突っ込むが5着が精一杯だった。
続く、古馬との初対戦となったマイルチャンピオンシップで5着となり、年内休養に入った。栄光の戴冠への夢は来年へ持ち越されることとなる。
4歳になり、京王杯スプリングカップ4着を経て、安田記念に出走する。後方待機から大外一気を狙い最後の直線へ。先頭に立つアドマイヤコジーンを目掛け、懸命に追い込む。そのまま抜き去る勢いであったが、二の脚を使ったアドマイヤコジーンにクビ差及ばず、またしても2着。
そして、グランプリの宝塚記念に挑んだ。ここでは1番人気に支持され、ファンも陣営も期待を寄せていた。いつもはゲートをスムーズに出たあと、後方待機することが多いが、今回は先行策をとる。一つ前のポジションにいた2番人気のエアシャカールが3コーナーで仕掛けると、共に上がっていった。
エアシャカールは早々に伸びを欠くが、逃げるローエングリンや追い込むツルマルボーイなどの脚色は良く、激戦になった。ただ、ここぞとばかりに根性を見せたダンツフレームが他馬の追撃をしのぎ切り、遂にGⅠのタイトルを掴み取った。
世代のレベルが非常に高く頂点までの道のりは険しかった。しかし、挑戦し続けて栄光を勝ち取ったダンツフレームには、エリートとは違った昭和根性のような漢の生き様を教えてもらった。
【了】
【著者プロフィール:沼崎英斗】
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