②2008年(勝ち馬スーパーホーネット)
歴史的な一戦から10年が経った、2008年の毎日王冠。この年の毎日王冠は、ウオッカ一色であった。
ウオッカは、3歳時にダービーを制した後は中長距離でなかなか結果が出なかったが、距離短縮を図ってからはドバイDF4着、ヴィクトリアマイル2着と復調気配を見せていた。そして、安田記念では3馬身半差の快勝で、ダービー以来約1年ぶりの勝利。さらなるG1に向けて、秋の始動戦として毎日王冠を選択していた。
人気は単勝1.5倍と一本かぶり。明確な対抗馬がいなかったこともあり、2番人気以降は単勝10倍以上というオッズで発走を迎えた。
レースは、好ダッシュを決めたウオッカがハナを切るという予想外の展開に。新馬戦以来、久々に逃げる形となったウオッカであったが、折り合いを欠くこともなく軽快に馬群を引っ張っていく。2番手にはフィールドベアーがつけ、早めに隊列が決まって流れは落ち着く。元々逃げ馬ではないウオッカが引っ張る流れということもあり、前半の800m通過は47秒7。重賞であることを考えるとかなりゆったりとしたペースで進み、そのまま隊列に大きな動きもないまま、4角を回って最後の直線へと向かう。
直線に入ると、持ったままで後続を突き離していくウオッカ。このまま人気に応えて完勝かと思われたが、そこにただ1頭差を詰めてきたのがスーパーホーネット。残り300mあたりで2番手に浮上すると、その時点であった3馬身の差をジリジリと詰めていく。残り200mで2馬身、残り100mで1馬身とウオッカを追い詰め、ゴール前できっちりと交わして勝利を収めた。逃げたウオッカはアタマ差惜敗の2着となり、そこから2馬身差の3着にアドマイヤフジが入った。
勝ったスーパーホーネットは、断然人気のウオッカを倒して重賞3勝目。安田記念ではウオッカを抑えて1番人気に支持されながらも8着に敗れていたが、見事にリベンジを果たした。
スーパーホーネットはその後、悲願のG1制覇を目指し、前年2着のマイルCSに1番人気で出走するも、ブルーメンブラットに敗れてまたも2着。現役引退までにG2を4勝、G1で2着が4回ありながらも、G1のタイトルにはあと一歩届かず。それでもウオッカを打ち破ったこの毎日王冠は、ファンに鮮烈な印象を残した。