
中央競馬では有馬記念が年末の風物詩として親しまれているが、地方競馬では東京大賞典が同じ位置づけにある。日本競馬におけるその年最後のG1競走として、多くのファンが注目する一戦だ。だが、有馬記念に比べると東京大賞典は堅い決着になりやすい。そこで今回は、同競走での3連単低配当をランキング形式で振り返る。[5/5ページ]
【第1位】2013年 560円
■1着ホッコータルマエ→2着ワンダーアキュート→3着ニホンピロアワーズ
競馬はギャンブルである。そのため、各出走馬に人間が評価を下した人気の数字が割り振られているが、その数字通りに決着することは少ない。
2024年の中央競馬においても、1番人気から3番人気がそのまま1着から3着に入ったのは、1か月では両手、もしくは片手で数えられるほどの回数しかない。大体、上位3頭で決まっても順位が人気とはひっくり返ったりすることが多いのだ。
だが、1番人気から3番人気まで人気が拮抗しているかつ、その順番通り入線したとしたら、そのレースの配当は非常に低いものとなる。2013年の東京大賞典がそうだった。
この年は前年まで南関東を引っ張っていたフリオーソが引退し、地元を含めた地方勢の出走馬に絶対的な存在が不在だった。
さらに、中央馬もトランセンドやカネヒキリといったトップホースが引退し、エスポワールシチーやグレープブランデー、ローマンレジェンドといった前王者たちは不調で、新たな王者の登場を待ちわびているような状態だった。
当時、中央から遠征してきた5頭のうち4頭はG1級競走の勝利経験があるが、そのなかでもローマンレジェンドは不調。この年にG1級競走3勝を挙げたホッコータルマエ、息長く活躍を続けるワンダーアキュート、前走のジャパンカップダートで初G1制覇を遂げたニホンピロアワーズが抜けた実績で、人気もこの3頭で分け合う形となっていた。
レースでは、逃げたサトノプリンシパルを見ながら人気3頭が先行集団につける形。勝負所で一気に先頭を3頭で交わすと、最後の直線はそのまま彼らのマッチレースに。
最内から行ったワンダーアキュートが最初は抜け出したが、外から一気に迫ったホッコータルマエが並ぶ間もなく捉えて抜け出す。そのままライバル2頭を置き去りにする脚で勝ち切り、G1級競走4勝目を飾った。
2着に2番人気のワンダーアキュート、3着に3番人気のニホンピロアワーズが入線したことで、グレード格付け以後の東京大賞典では史上初となる、馬券圏内は人気順通りの決着となった。その配当は560円。この払戻金額は2025年12月22日現在でもレース史上最も低かった3連単の配当となっている。
ちなみにこの日の4レースでは同じように1,2着が人気を分け合った1,2番人気で決着しているが、その馬単は580円。東京大賞典の馬単は370円である。
さらに、もしこの4レースでは1から3番人気が順番に入線していても、その3連単は2340円の払戻となっていた。平場と重賞競走の違いはあるとはいえ、この東京大賞典がいかに「上位3頭で堅い」と多くのファンに見られていたかが分かる結果と言えるだろう。
【了】
【著者プロフィール:小早川涼風】
祖父、父の影響で幼い頃から競馬に触れ、社会人後ライターに。地方、中央を問わない競馬漬けの日々を送る。初めて好きになった馬はサイレンススズカ。思い出の馬はファストフォース。
【関連記事】
・【有馬記念・馬券売上の上昇&下降率ランキング】あらゆる要素が影響?冬のグランプリにまつわるお金の話
・【有馬記念連覇に挑んだ名馬 5選】難しいからこそ燃える!年末グランプリの高い壁
・【有馬記念・馬券売上の上昇&下降率ランキング】あらゆる要素が影響?冬のグランプリにまつわるお金の話



