
中央競馬のG1競走は、2025年時点で年間わずか24レースしか行われない。その希少さゆえにホースマンなら誰もが憧れる舞台となる。本記事では、1984年のグレード制導入以降に、JRAのG1タイトルを手にした騎手について、勝利数トップ10をランキング形式で振り返る。[9/10ページ]
第2位 クリストフ・ルメール(56勝)
2002年に23歳でJRAの短期騎手免許を取得し、初来日して以降、12月7日終了時点でG1通算56勝を挙げているクリストフ・ルメール騎手がランキング2位に入った。
外国人にも免許試験が開放された2015年、M.デムーロと同時にJRA通年免許を取得したC.ルメール。
母国フランスでも実績を残していた中での挑戦となったが、初重賞制覇となるG1勝ちを果たしたのは05年。ハーツクライに騎乗し、当時無敗だったディープインパクトに国内で唯一の黒星をつけた有馬記念だった。
2度目のG1勝利は08年にリトルアマポーラで制したエリザベス女王杯。以降もカネヒキリで同年のジャパンカップダートを、09年にウオッカでジャパンCを制すなど毎年短期間の騎乗機会ながらコンスタントな活躍をみせる。
通年免許を取得した2015年以降は、16年にサトノダイヤモンドとコンビを組んで菊花賞を制し、初のクラシックタイトルを奪取。その勢いで年末の有馬記念も制覇した。
そして2017年から5年連続でリーディングジョッキーに輝くなど、他者の追随を許さない「無双状態」となる。
コンビで前年の阪神JFを制したソウルスターリングでオークスを制すと、翌週にはレイデオロをこれまでの常識を覆すレース中盤からの“捲り”で優勝に導き、ダービージョッキーの称号を得た。
18年には名牝にしてG1歴代最多となる9勝を挙げたアーモンドアイの鞍上を務め、牝馬3冠とジャパンCを勝利。
さらにレイデオロでの天皇賞(秋)などこの年は年間でG1・7勝(グレイスフルリープで勝った京都開催のJBCスプリントを含まない)を達成する。
この年は、年間最多勝利記録を更新する215勝を挙げて名実ともに国内ナンバーワンジョッキーとなった。
2019年はサートゥルナーリアで皐月賞、フィエールマンで天皇賞(春)を制すなどG1・5勝を積み上げた。
そして迎えた2020年。モズアスコットでのフェブラリーSに始まり、ジャパンCで引退レースを締めくくったアーモンドアイでG1を3勝、スプリンターズSとマイルCSを“鬼脚”で勝利したグランアレグリアなど、年間最多記録となるG1・8勝を達成した。
23年にも“世界最強馬”イクイノックスとのコンビで宝塚記念などG1・3勝、レガレイラに騎乗して年末最後のG1となったホープフルSを制し、G1を年間で7勝。
勢いはとどまることを知らず、24年にチェルヴィニアでオークス&秋華賞、アーバンシックで菊花賞を制した。
今年に入ってもエンブロイダリーで秋華賞、エネルジコで菊花賞、そしてマスカレードボールで天皇賞(秋)を制すなど、12月7日終了時点でG1を4勝を挙げている。
依然として勢い止まらない騎乗術は、大舞台では「黙って買う」以外に道はないほどの存在感を示している。



