競馬の世界で最高峰に位置づけられる「G1」。そのタイトルは騎手であれば一度は夢見る頂だろう。だが、その壁は高い。そもそも騎乗機会が限られ、さらに勝つには、運も馬の力も、技術も、すべてが噛み合わなければならない。そこで今回はG1初勝利までに最も多く挑戦した騎手たちトップ10 をランキング形式で紹介していく。[8/10ページ]
第3位 岩田望来
挑戦61回目・2024年阪神ジュベナイルフィリーズ・アルマヴェローチェ

2019年の3月にデビューし、その3か月後のCBC賞で重賞初騎乗となった岩田望来騎手。その年の秋のマイルチャンピオンシップで早くもG1初騎乗を果たしている。
それ以降もG1に騎乗する機会は多く、デビューからわずか3年でG1に20回騎乗。重賞でも騎乗馬は多く、新人ながら土日のメインレースで彼の騎乗を見る機会は多かった。
それでも重賞初勝利はデビュー4年目、2022年の京都牝馬ステークスまで待たなければならなかった。ここまでJRAの重賞では97連敗を喫していただけに、レース後には「すごくホッとしています」とコメント。厳しい結果の連続に本人も相当な悔しさがあっただろう。
しかしこれを皮切りに、望来騎手は着実に成長していく。同年のJBCレディスクラシックを制してG1級競走の初制覇を飾ると、翌2023年にはワールドオールスタージョッキーシリーズを初制覇。2024年にはフランスに武者修行へ赴き、初勝利も飾った。
そして、その成果が結実したのが、同年12月の阪神ジュベナイルフィリーズである。このレースで初コンビとなったアルマヴェローチェでレースに臨んだ望来騎手は、速い流れを見越して道中は中団から進める。
そして直線、迷うことなく相棒を大外に持ち出すと、内から伸びてきたビップデイジーを抑えてG1初制覇。61回目の挑戦でついに栄冠を掴んでみせた。
レース前、望来騎手は上村洋行師から「無難に乗らなくていい。思い切って乗ってくれ」と指示を受けていたという。
その言葉通り、全く迷わず大外を選択した決断に相棒が応えた。新人の頃からはひと皮もふた皮も向けた騎乗を見せた望来騎手の今後の活躍に、期待は増すばかりである。



