HOME » コラム » ランキング » 【騎手がGⅠ初勝利するまでの挑戦回数ランキング】涙の数だけ強くなれる!諦めなかった者が辿り着いた絶景 » ページ 7

競馬の世界で最高峰に位置づけられる「G1」。そのタイトルは騎手であれば一度は夢見る頂だろう。だが、その壁は高い。そもそも騎乗機会が限られ、さらに勝つには、運も馬の力も、技術も、すべてが噛み合わなければならない。そこで今回はG1初勝利までに最も多く挑戦した騎手たちトップ10 をランキング形式で紹介していく。[7/10ページ]

第4位 小牧太

挑戦49回目・2007年桜花賞・レジネッタ

2008年桜花賞でG1初制覇を果たした小牧太騎手(レジネッタ)
2008年桜花賞でG1初制覇を果たした小牧太騎手(レジネッタ)

 JRAへ移籍する以前から、何度もエキストラ騎乗を行っていた小牧騎手のG1への初騎乗は2001年の天皇賞(春)が最初だった。

 この年、小牧騎手は所属していた兵庫でロードバクシンと共に兵庫三冠を達成し、JRAの重賞もローズバド、ロサードで2勝と絶好調。将来的にJRAへの移籍を見据えていた小牧騎手にとってこの活躍は追い風となり、2004年、正式に所属を中央へ移す。

 初年度から重賞も3勝して牡馬クラシック三冠もすべて騎乗したかと思えば、年末の朝日杯フューチュリティステークスではペールギュントで3着となり、順風満帆なスタートを切ったように見えた。

 だが小牧騎手自身は「園田から乗りに来ていた時の方がうまく乗れていた」と感じていたようだ。地方からの移籍ということでどこか力み、上手く乗らなくてはというプレッシャーがかかっていたのかもしれない。

 そしてG1でも掲示板に乗れず、徐々に依頼も減る状態に「G1は勝てないかもしれないな…」と思ったこともあったという。その境地を救ったのが、地方からの移籍先駆者である安藤勝己騎手だった。

 「俺たちは追えるし、馬を動かすことも負けていない。だから大丈夫」という言葉で気持ちが楽になり、移籍2年目の2005年には76勝を達成。

 翌2006年には阪神ジュベナイルフィリーズで2番人気のルミナスハーバーにも騎乗し3着と好走と、上昇気流に乗って行った。

 そして2008年、フィリーズレビューで初コンビを組み、中団から追い上げたレジネッタで桜花賞に挑戦した。

 レースは逃げたデヴェロッペが作ったペースは800m通過が46秒4というハイペースで後方有利のものに。そして直線、外に持ち出されたレジネッタはじわじわと脚を伸ばし、先行集団をまとめて飲み込み先頭へ。

 ゴールの瞬間、G1連敗記録を48でストップさせた小牧騎手は、喜びを爆発させるガッツポーズを見せる。勝利騎手インタビューでは「悔しい思いをしていましたので本当に嬉しいです」と語りながら泣きじゃくる姿に、全国のファンから惜しみない祝福の拍手が贈られた。

 この勝利から月日は流れ、2025年現在は兵庫競馬に戻って騎手生活を続けている小牧騎手。今度は前例のない「中央から地方への出戻り」のパイオニアとして、活躍の姿を見せ続けている。

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