HOME » コラム » ランキング » 【騎手がGⅠ初勝利するまでの挑戦回数ランキング】涙の数だけ強くなれる!諦めなかった者が辿り着いた絶景 » ページ 5

競馬の世界で最高峰に位置づけられる「G1」。そのタイトルは騎手であれば一度は夢見る頂だろう。だが、その壁は高い。そもそも騎乗機会が限られ、さらに勝つには、運も馬の力も、技術も、すべてが噛み合わなければならない。そこで今回はG1初勝利までに最も多く挑戦した騎手たちトップ10 をランキング形式で紹介していく。[5/10ページ]

第6位 幸英明

挑戦47回目・2003年桜花賞 スティルインラブ

2003年桜花賞でG1初制覇を果たした幸英明騎手(スティルインラブ)
2003年桜花賞でG1初制覇を果たした幸英明騎手(スティルインラブ)

 デビューした1994年の夏には小倉記念で重賞初騎乗を達成し、翌1995年には早くも天皇賞(春)でG1初騎乗。

 減量が取れた4年目以降も騎乗数が増加した幸英明騎手は、デビュー6年目にしてフェブラリーステークス、NHKマイルカップ、安田記念以外の上半期G1に名を連ねるという記録を作る。

 このうち皐月賞と高松宮記念は取消と除外だったとはいえ、まだまだ若手に数えられる時期に春のクラシックすべてで依頼を受けていたということ自体がすごい。

 桜花賞ではトゥザヴィクトリーを3着に導いているように、しっかり結果も残していた。46回のG1騎乗での平均人気は12番人気ながら、平均着順は9.7着という数字からも、期待以上の結果を残していたことが分かるのではないだろうか。

 そして2003年の桜花賞へ、幸騎手はデビュー以来コンビを組み続けてきたスティルインラブと挑む。

 前走のチューリップ賞では直線、わずかな隙間を突こうとして前が詰まる不利を受けて2着。レース後、幸騎手は主戦の降板を覚悟していたという。

 しかし管理する松元師は「この経験を次に活かしてくれればいい」と幸騎手を励まし、桜花賞でのリベンジを見据えた。

 レースは1番人気のアドマイヤグルーヴが出遅れる一方で、スティルインラブは好スタートから先行集団へ。そして4コーナー、スティルインラブの前方にはチューリップ賞と同様、1頭分が入れるかどうかのスペースが出来上がる。

 そこで幸騎手は迷わずその間を突くことを選択し、勢いよく直線に向かった。そうしてスティルインラブは前走での反省を生かした乗り役のアクションに応え、誰にも阻まれることなく脚を伸ばして突き抜ける。そのまま人馬共にG1初制覇となるゴール坂を華麗に駆け抜けて行った。

 「騎手をやっていて良かったです」と勝利騎手インタビューで語った幸騎手は、その後オークス、秋華賞をスティルインラブと共に先頭で走り抜け、一気に牝馬三冠ジョッキーまで駆け上がった。

 その後も2025年10月現在で、G1に240回騎乗し8勝。通算では2万4000回以上の騎乗回数を数える「鉄人」は、今後も競馬開催日の朝から晩まで我々競馬ファンを楽しませてくれるだろう。

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